成田キャンパス
医学科

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FACULTY OF MEDICINE

医学部 医学科

座談会

アクティブラーニング座談会
「答えを出すために自分から関わって勉強する大切さを教わりました」

アクティブラーニング

<アクティブラーニング座談会 右から>
濱 和泉さん(米マサチューセッツ州立ブルックライン高校卒、マサチューセッツ大学アマースト校自然科学部化学科中退)
村上 純一さん(愛光高等学校/東京大学大学院工学系研究科修士課程終了)
小田代 美香さん(鶴丸高校出身)
三宅 真太さん(札幌東高校出身)
赤津 晴子 教授

赤津晴子教授 アクティブラーニングの第一印象は? 戸惑いはありませんでしたか?

三宅さん 戸惑いはもちろん、めちゃめちゃありました。こんなエキセントリックな授業やったことないし、けどアクティブラーニングのおかげで、知らなかったことに気付かせてくれました。高校のころまでの一方通行の授業とは違い、まさに参加型の授業、ワークショップ。先生がクイズを出し、生徒がテキストや授業スライドを使いながら周りの友達と話し合い答えを出していく。数人のグループで問題の解決策を考えプレゼンしたり、先生に変わって授業を行ったりもしました。とても新鮮でおどろきました。

濱さん 私は幸運にも前にアクティブラーニングを経験したことがあったので、スムーズに参加することができました。本校では1学年140人ですが、小グループに分かれて劇をしたり、チームで問題を解きながら教えあったりするなど様々な工夫がなされています。先生方の入念な用意のおかげで、スムーズに参加することができます。

小田代さん 大学でこんなに生徒が自主的に勉強する環境があるって珍しくて面白い、と思いました。オリエンテーションで学年のほぼ全員と話したことがあったので、誰とでも意見を交わせました。

村上さん 同級生とディスカッションしながら勉強できるのは、それがうまくはまった場合、時間のたつのも忘れるくらいでした。アクティブラーニングの効果は、各生徒の姿勢や、その科目の内容、そしてグループメンバーとの相乗効果等、様々な要因に影響されると思います。私個人も、非常にアクティブラーニングの効果のあった授業が多かったと感じています。

赤津晴子教授 事前学習や講義の初めの予習確認テストなどをどう取り組んでいますか。

濱さん 正直なところ、授業の復習に手いっぱいであって、事前学習が充分にできない時もあります。それでもアクティブラーニングに参加することに意味があると思えるので、授業に参加します。予習確認テストのあった科目では気が引き締まり、放課後や授業前の時間を使って友人と勉強しました。グループ課題がある時は、授業外にメンバーで集まって用意したり、役割分担をして課題をこなしたりすることが多いです。

村上さん 長い間、復習中心の学習を続けてきた癖が今も残っていて、事前学習や予習確認テストという観点で、良い学生ではないと思っています。ただ、予習を怠って、授業が予習前提で進んでいる時など、自分で何とかしないといけないという危機感を否が応でも持たざるを得なくなり、逆説的ですが、それがその後の積極的な学習につながっている感があります。

小田代さん アクティブラーニングは自分一人でやることよりも、ほかの友人とグループで活動することが多いので、授業中に真剣に取り組んで、なるべくその時その時こなすようにしています。自分にとって不得意なことが、ほかの人にとっては得意なことだったりするので、協力することで学習の効果がより大きいと思います。

三宅 テストは先生の指示にもよりますが、なるべく周りのみんなと一緒に解きます。というか、医学の問題なんてムズいんで、これどう思う? とあちこちで話し合いが始まります。みんなで解けば間違いも減るし、わからなくても投げ出さなくていい。そんな風に授業に関わっていくことが大切だと思います。プレゼンはみんな、全力で面白いものを作ってくるし、僕だって負けたくないし、聞いてもらえないのが一番悲しいので、笑ってもらえるプレゼンをしようと心がけています。

赤津晴子教授 自ら努力している取り組みがありますか。

小田代さん いつも、何に対しても自分の意見を持つようにしています。受け身になるのではなく、自分ならどう考えるか、どうすればもっと良くなるかなど、常に自分なりに考えることで、積極的に学習できると思うからです。

三宅さん とにかく話すことです。基本はディスカッションがメインなのでちゃんと自分が思っていることを伝えることを心がけています。そのためにも、予習が大切なんですけど、やっぱ慣れてくるとさぼってしまうんですよ。だって人間だもの(笑)。でも、予習をさぼった時にも話し合いに参加していれば周りの話を聞きながら情報を仕入れることができるので、参加することはとっても有効です(笑)。

濱さん アクティブラーニングは参加しない人がいると他のメンバーにその分だけ負担がかかります。止むを得ず参加できない時は仕方がありませんが、自分が参加している時は少しでもグループに貢献できるように努力しています。どのグループでも、全員が気持ちよく取り組めるような環境づくりにメンバーみんなが貢献しているように思います。

村上さん 講義資料や先生の推薦図書にこだわらず、理解を深めるため、自分にとってわかりやすい参考書やサイトを探して、適宜参照するようになりました。自分がまだ手薄で理解が遅れていると感じている箇所は、問題意識を持ち続けるようにしています。

赤津晴子教授 スモールグループ活動の場合、7人のグループに留学生ひとりがメンバーとして入ることが多いですが、留学生との意思の疎通は?

濱さん お互いに悩みを話したり価値観を共有したりできるかけがえのない友人ができました。どの留学生もとても上手に日本語を話しますが、会話は英語が多いです。向上心が高く、優秀な学生ばかりなので感心しますし、良い刺激になります。なかには国を背負って学びにきている留学生もおり、ともに医学を学べることに感謝しています。このような貴重な機会があるのは私たちの医学部だけです。

三宅さん 結構、仲良くなったと思います。そうでありたい。いや、そうです。留学生のみんなは非常に優秀な人たちなので、英語はもちろん日本語も普通にできるので意思疎通に問題はありません。英語での話し合いの時や難しい日本語が出てきた時にも、こちら側が頑張って拙い英語、いや、英単語を並べて伝えようとすれば、留学生のみんなも必死に理解しようとしてくれるので、英語が全然話せないぼくでも仲良くなることが出来ました!!!!

村上さん グループ学習により、留学生との距離は近くなったと思います。グループ学習のメンバーは授業毎に固定されずに様々に変わるため、将来、即席の多様なメンバーで構成されるチームで医療行為に当たる際の、いい疑似体験にもなっていると思います。

小田代さん 最初のころ、自分の言いたいことを英語で伝えることにとても苦労しました。でも、留学生はみんな真面目で学ぶことにとても積極的で、私の言うことにも一生懸命耳を傾けてくれたし、私も少しずつ英語を話すことに慣れてきて、話すのが楽しいです。留学生には自分とは違う価値観があって、毎日とてもいい刺激になります。今では、たまに英語で笑い話をするくらい仲良くなりました。

赤津晴子教授 アクティブラーニング授業は、一方的に知識を受け取り、暗記する、といったこれまでの受動的な教育方法とは異なり、自ら情報を取得し、能動的に問題解決能力を養うことをめざしていますが、そのようなトレーニングになったと思いますか?

村上さん はい、トレーニングになったと思います。特に効果のあった授業として、望ましい医師になるために、医療倫理や医療安全を中心に、ケーススタディを扱った医療プロフェッショナルという科目が印象に残っています。実際に起きた安楽死事件や、病院内で発生した医療事故を、発生前から発生後まで時系列に合わせて、各段階で取るべき手段をグループ内で議論して発表し、その後に、逐次的に実際に起きた事実を知らされました。各課題を、その場にいる当事者の身になって思索して疑似体験できたことで、個人的には、全国の大学で安楽死や医療事故を扱った授業の中でも、最良のもののひとつをうけられたのではないかと感じています。この授業内で試行錯誤した経験が、将来に同様な局面が起きる可能性がある時に、より良い判断の選択に資するだろうと思っています。

濱さん 他には、器官別統合講義でのアクティブラーニングも印象的でした。正解にたどり着くことはなかなか難しいですが、ディスカッション中にグループのメンバーと話し合い、習ったことを確認することで、頭の中で知識が整理されることがありました。グループで考えたあと教授の解説をもう一度聞くことで、より効果的な学習になっています。

小田代さん とてもためになる授業だと思っています。授業をただ聞いたり人任せにしたりするのではなく、答えを出すために自分から関わって勉強する姿勢の大切さを教わりました。

三宅さん やっぱり大学に入る前よりも授業に積極的に参加するようになったので自分の勉強の不備に気付き、何ができて何ができていないかを把握する力、自分を知る力を養えるようになったと思います。その中で、教科書の読み方を変えてみたりとか教材としてyoutubeも使ってみたりとか自分で日々修正と確認をしながら、自分オリジナルの勉強法の根幹をこの1年でつくれた気がします。

赤津晴子教授 プラスになったことがありますか。

小田代さん 私は3年間の浪人を経て、この大学に入学しました。ここにくるまでの大学のイメージは、適当な授業を自分で選んで、大きな教室の後ろでただぼーっと聞いて、単位さえ取れれば何とかなる、というものでした。でもこの大学に入って、いい意味で手抜きができなくて、毎日刺激があって、勉学に励む環境としては最高だと感じています。アクティブラーニングを通して、友人ともより仲良くなれましたし、先生も熱心に生徒に関わってくださるので、人間関係で悩むこともなく、何かあってもすぐ相談できる環境がありがたいです。この大学に来てよかったなといつも思います。

濱さん 留学生だけでなく、私たちの学年は多様なバックグラウンドを持つ学生が多いです。帰国子女、大学卒業者、社会人経験者など本当に様々で、個人の経験やこれまでに培われた価値観がアクティブラーニングを通してシェアされ、お互いの成長に役立ちます。他者への理解も深まり、良い関係でともに医学に励むことができていると感じます。このような機会を頂いていることをありがたく思います。

村上さん 同級生の中で、自主的に手薄な科目の勉強会を開いたり、生徒から、わかりにくい分野について、先生に補講をお願いしたりというケースが数多くあり、生徒が協力的して能動的に取り組もうという雰囲気が、学年全体にあり、非常にいいことだと思います。

三宅さん 能動的に授業に参加するようになってから、自分の勉強方法について考えるようになり、そこから、自分を知る、自己分析をする力をより洗練できた気がします。1日の中で、いつ集中できるか、逆にいつだれてしまうのか、何時に寝て起きるのがベストかなど、自分の特徴を捉えることが出来るようになり生活スタイルの確立にその自己分析がつなげられるようになりました。