成田キャンパス
医学科

医学科

FACULTY OF MEDICINE

医学部 医学科

実習レポート2020

指導教員:主任教授 倉橋 清泰(右)

指導教員レポート: 倉橋 清泰

■ 臨床実習を通して、学生に期待すること、理解してほしいこと。

臨床実習に来る学生から、「教科書は何を読んだらいいですか?」と聞かれます。私は、「患者さんが教科書です。足繁く患者さんのところに通い、訴えを聞き、所見を取らせてもらい、そして、自ら考えなさい。書籍はいくつか提案しますが、それらは参考書として使ってもらいたい」と答えます。
本学が全国の医学部の中でも最も早くから臨床実習を始め、そして、最も長い期間臨床実習を行うのには理由があります。ぜひ、「参加型臨床実習」を通じて真の「医療」を学び、研修医となったその日から役に立つ知識と技術、統合能力、そして、何よりも患者さんに寄り添う心を磨いてください。

■ 臨床実習を通して、3年間の教育の成果を実感した場面はありましたか。

「3年間の教育の成果」と言うとピッタリと合うかどうかわかりませんが、臨床の現場で患者さんのケースについてディスカッションしていると、「あ、あの科目で習った」と言ったり、「ちょっと待ってください」と言ってまとめていたノートを見返したりする学生に出会います。3年までの講義内容を全て覚えておく必要はないと思いますが、臨床実習におけるそれぞれの問題が、3年間で学んだストックのどの引き出しに入っているのか、学んできた基本にさらに何を加えていったら実際の診断や治療に結びつくのかを考え、導き出す術を持っていることが大事ですね。1~3年では根をしっかり生やして幹を育て、4年からの臨床実習では枝を伸ばし、葉を茂らせるというイメージでしょうか。持っているのが少々あやふやな知識であったとしても、臨床現場でそれをきちんとイメージづけられれば、将来に渡って忘れない、応用力のある考え方に育ちます。

■ 他大学の実習生と比較して、本学の学生ならではと感じたことはありましたか。

本学は、医学部に加え(むしろ医学部は最後に設立された)、多くのhealthcare professionalの学部・学科を持っています。3年間のカリキュラムの中で、アーリー・イクスポージャーでは看護師や臨床検査技師になり切って実習したり、多職種連携実習では医学生として他の専門職の学生と意見交換をしたりしながら、医療チームの中で、自分はどのような位置づけにあるのか、いかに多くの職種が関わってひとりの患者さんが病から回復して退院していくのかを身を以て学んだと思います。それをまさに実践する最初の舞台がこの臨床実習なのです。初めは指導医について歩くヒヨコのようでしたが、自分の仕事を覚え、次第に他の職種のスタッフときちんと「プロとして」相対していく姿は、流石本学の学生と目を細める場面が多々ありました。

■ 英語で医療を学んだことが生かされていると実感した場面はありましたか。

COVID-19の影響で海外からの患者さんが少なく、英語を使って活躍する場面はありませんが、疑問に思ったことを調べる際に、英語の教科書を提示してもすっとページを繰っている姿を見ると、本学の学生にとっては言語の壁はかなり低いのだなと感じます。今後、実際に海外の患者さんを受け持った際に、単なるコミュニケーション・ツールとしてではなく、共通の言語で患者さんと相対することによって、患者さんが本当に訴えたいこと、不安に思っていることを聞き、辛いときにかけてもらいたい言葉を掛けてあげられる、そのような医師をめざしてさらに言語もブラシュアップしてもらいたいと思います。

■ 受験生に向けてひとこと。

本学医学部は開設してまだ4年ですが、学会役員の仕事などで他大学の教授と会うとお褒めの言葉をいただくことがよくあります。その理由を伺ってわかったことですが、あなた方の先輩たちはすでに1年生や2年生のときに休みを利用して、病院実習に行ったり、BLSやICLSのプロバイダーコースを終了していたり、シミュレーションの大会に出たり、IFMSAで活躍していたりと、多種多様なところで勉学以外の活動をしています。そしてそれらは、どれをとっても将来医師となってやっていくうえで有形無形の財産となるはずです。このようにモチベーションの高い先輩がいるということは、本学にはすでにもう歴史・文化が築かれつつあるということです。一方で、まだまだ今から新しい取り組みをしていく余地も大きく残されてもいます。すなわち、あなた方の希望で、先輩についていって高みをめざすことも、自ら道を開いていくことも、どちらも可能なのです。

学生レポート:細野 杏介

学生:細野 杏介(右)

■ 実習病院や診療科はどのように決まりましたか?

病院は実習統括の先生が学生の希望調査を行ったうえで振り分けられました。配属科は各病院の実習担当の方が決めてくださるので、初期研修のようにバランスのとれたローテートになっています。

■ 臨床実習の「一日の流れ」は?

8時30分を目安に集合し、回診やカンファレンスに参加することから一日が始まります。診療科によってはもっと早い時間に自主的に登院し、朝のプレゼンに備えることもあります。それが終わると担当患者さんの状態を評価して今後の治療計画を立てたり、各実習先の特徴的な検査や業務を見学したりします。終了時間は先生方が見計らってくださいますが、極端に遅くなることはありませんでした。

■ 3年間の学修の成果を特に実感した場面はありましたか?

臨床実習最初の診療科でのことです。カルテからの事前情報なしに担当患者さんの病態を把握するように指示されました。しかし、いざ患者さんの元に向かうと呼吸状態が悪く問診も満足にできませんでした。とはいえ、戸惑っているばかりでは駄目だと思い、よく観察し所見も取らせていただきました。そして、さまざまな可能性を除外していき、最終的に患者さんの病態と病名が理解できたときに、過去に学修したことの成果を実感しました。

■ 器官別統合授業の成果を感じた場面はありましたか?

患者さんの状態を把握しようとしたときに、解剖・生理といった基礎医学分野から症状・検査・治療といった臨床分野までを一緒に学修することができた器官別統合授業はとても役に立ったと感じています。というのも、「今、患者さんの身体の中では何がどうなってこのような状態になっているのだろう」と疑問に感じたとき、それぞれの点と点を結びつけるのは、まさに授業の記憶だったからです。

■ 大学で学修したことと現場での違いを感じた点はありますか?

「患者さんがいる」ということです。実習において治療は教科書的な対応ばかりではありませんでした。同じ病気でも、それは患者さんによって医学的にも心理的にも社会的にも異なり、教科書やガイドラインにある対応が適しているとは限らないということ。現場でしか学べない重要な経験だと感じています。

■ 患者さんと接して印象に残っていることはありますか?

患者さんと接していると印象に残ることばかりです。知識の糧にと自身の体験を詳しく丁寧にお話しくださった患者さん、主治医の先生のお話が難しく解説してほしいと頼ってくださった患者さん、「またお世話になっていいですか」と嬉しくも反応しづらい冗談を言ってくださった患者さんなど、挙げるときりがありません。お一人お一人に本当にお世話になりました。

■ 臨床実習期間中に自分が「成長した」と感じたことはありますか?

特にこれといったエピソードはありませんが、まだ知らないことばかりで些細なことも新鮮に感じられるので、毎日が成長の日々だと考えています。

■ 臨床実習を通して現時点で自分の進む診療科は決まりましたか?

まだまだ決まりません。現在、救急科を念頭に置いていますが、診療科それぞれに魅力があり、楽しくやりがいがある科ばかりです。そのため、「この診療科もいいな、あの診療科もいいな」と浮ついています。先生方がとても熱心かつ親身に指導してくださるので、そのように感じるのだと思います

■ 臨床実習期間中、休日はどのように過ごしていましたか?

休日の過ごし方はさまざまです。友だちと遊びに行くこともあれば、プレゼンの準備をすることもあります。寮からオンライン勉強会に出席することもあれば、散歩や映画を楽しむこともあります。遠方で実習している友だちと近況報告をし合うこともあります。もちろん、1週間の実習で学んだことの振り返りもしますが、課題や学修に追われるだけでなく、余暇を含めて充実した休日を過ごしています。

■ 将来どのような医師になりたいですか?

欲張りと言われそうですが、 "目の前にいる人" にも "目の前にいない人" にも手を差し伸べられる医師になりたいという想いがあります。そのためにも臨床医としてだけでなく社会医学系での活動も行いたいと思っています。また、日本の医療に対して「自我作古」の姿勢でありたいです。そのために日本全国を見て回り海外も体験し、自分にできることを成していきたいと考えています。

■ 実習スケジュール

期間 病院名 診療科
6月1日~7月22日 国際医療福祉大学熱海病院 腎臓内科
消化器内科
糖尿病代謝内分泌内科
皮膚科
泌尿器科
8月31日~9月11日 国際医療福祉大学市川病院 リハビリテーション科
呼吸器内科
9月14日~9月25日 成田赤十字病院 精神科
9月28日~10月23日 国際医療福祉大学成田病院 糖尿病代謝内分泌内科
麻酔科
11月2日~11月14日 国際医療福祉大学熱海病院 皮膚科
泌尿器科