成田キャンパス

消化器外科学教室

鈴木裕教授の「ビタミンDがん再発・死亡予防効果研究」が「JAMA」に掲載

本学の鈴木裕教授(国際医療福祉大学病院副院長、医学部消化器外科学)と東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授との共同研究で、ビタミンDが、がんの再発・死亡予防に効くことがわかり、世界医系3大誌の1つ「JAMA」に論文が掲載されました。
鈴木教授らの研究は、食道、胃、小腸、大腸など消化器系のがん患者417人のうちビタミンDのサプリメント(1日2,000IU)を内服する251人と、ビタミンDが入っていないプラセボという見た目も味もまったく同じカプセルのサプリメントを内服する166人のどちらに再発や死亡が多いかを観察したものです。
ビタミンDを摂取する患者の77%は再発がなく存命だった一方、プラセボ群は69%で、その差は8㌽でした。統計学的に差があるとは言えませんでしたが、ビタミンD群は患者の年齢が高く、これを補正すると「8㌽は有為の結論」に達しました。
ビタミンDは太陽光にあたると体内で合成されることから、日本発の研究⇒太陽光⇒太陽神⇒天照大御神の発想で、この研究を「アマテラス」と名付け、結果を2018年8月、JAMAに投稿しました。
19年1月になり、編集部から「補正しない結果を結論とするならば、採択の可否について議論を深めたい」との連絡がありました。それに同意し、編集部の200件のコメントに基づくやり取りを経て受理されました。
4月10日に発表されたJAMA誌上には「アマテラス」と並び、米・ハーバード大学ダナ・ファーバー癌研究所チームの手術適応外の進行大腸がんに対するビタミンDの効果を見る同様の比較試験「SANSHINE」も掲載されました。
内視鏡関係では世界のトップジャーナルGIEにも掲載され、論文のIF(インパクトファクター)指標も高い数値でした。

鈴木裕教授の話
「JAMAは、医系では世界3大誌の1つと言われ、内容によっては世界のガイドラインになるものです。今回、偶然にもハーバードのグループと類似した研究と結果になり、肩を並べて競えるところまできたとも言えます。現在、本研究のサブ解析として、がん遺伝子と予後の関係などを国際医療福祉大学病院・病理部の岡田真也部長らと共同でとりくんでいます」