教室紹介
国内のキャンパス・附属病院や海外の医療施設を結んだネットワークを構築
本学の病理部門は複数のキャンパスおよび付属病院に点在していますが、医師の相互派遣・遠隔カンファレンス・テレパソロジーシステム等を用いてお互いに密に連携し、一体運営されています。これにより欧米の大学やメディカルセンターに見られるような、各臓器の専門家が揃う病理部門を形成しています。またグループとして多くの検体を扱うことで稀少例を含む大規模な症例集積が可能であり、これらを生かした教育・研究体制の整備を進めています。
チーム医療の推進を掲げる大学の理念は、病理部門にも反映されています。成田・大川キャンパスの臨床検査学科病理関連部門、本グループの臨床医学研究センターに当たる各病院とも交流を深めてまいります。また国際交流・貢献も重要な柱の一つです。本学の関連施設であるベトナム・ホーチミン市のドック健診センター(HECI)の病理検体に対する遠隔病理診断システムを用いた二次診断、ベトナムの基幹病院である国立チョーライ病院病理部やモンゴル国立病理センターにおける難解症例へのコンサルテーション支援を日常的に行っているほか、欧米各地の病理部門とも連携を取っています。
基礎研究、臨床研究からデジタルパソロジーの深化まで、幅広い活動を展開
研究活動では、これまでの基礎医学としての実験病理学研究および臨床検体を活用した臨床病理学研究はもちろんのこと、がんゲノム医療をはじめとした分子病理学的解析・研究を基盤とした精密医療への対応を進めていきます。更に遠隔病理診断の手段としての画像のデジタル化から、人工知能システムを用いた病理診断支援システムへの応用・開発などを含むデジタルパソロジーの深化にも積極的に関わっております。
医学部教育から臨床研修プログラムまで長スパンの教育プログラムを運営
教育においては、医学部低学年時における病理総論および各器官別統合講義における病理各論から、高学年次における附属病院病理診断科での臨床実習、卒後初期臨床研修プログラムにおける臨床病理検討会(CPC)での指導、更には病理専門医を目指す後期専修プログラムまで、各段階に応じた様々な教育プログラムを運営しています。また本教室の医学部入学当初から卒後研修に至る長い時間幅で医学教育に関わる特性を生かし、本学の医学教育プログラム全体を俯瞰し適切なフィードバックを行う役割も果たしていきます。
診療、研究、教育の交差点として、さまざまな人が交わる場所をめざして
病理・病理診断学分野は、基礎医学と臨床医学の架け橋であり、診療と研究と教育が合い重なる医学における交差点です。人類の歴史を通じて様々なバックグラウンドを持つ人々が交わる場所には優れた文明・文化が花開き、我々の社会を進歩させてきました。産声を上げたばかりの国際医療福祉大学医学部病理・病理診断学教室が、日本・世界中から集まった皆さんが心地よく過ごせる場所となり、多くの優秀な病理医・スタッフを輩出し、患者様および臨床各科の先生方に的確な診断能力を信頼され、次時代を切り開く研究を展開できる「街」となるよう実績を積み重ねてまいります。
令和2年2月1日
国際医療福祉大学病理・病理診断学教室 教授(代表) 潮見 隆之