成田キャンパス

糖尿病・代謝・内分泌内科学教室

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大西俊一郎講師の論文が掲載されました。

2024年11月5日 大西俊一郎講師の論文が掲載されました。

Insulinoma with suspected mutant somatostatin receptor expression according to histological examination. Onish S, Takada-Watanabe A, Osamura RY, Shiomi T, Kusano H, Maezawa Y, Murai H, Miyabayashi M, Koike S, Yoshida T, Takemoto M.
Clin Case Rep. 2024 Nov 5;12(11):e9390.

日本語の概略

組織学的検査により、ソマトスタチン受容体変異を疑うインスリノーマの1症例

オクトレオチドはソマトスタチンアナログであり、ソマトスタチン受容体であるSSTR2とSSTR5を介して内分泌器官および神経内分泌腫瘍におけるホルモン産生を抑制します。本研究では、術前オクトレオチド試験で低血糖が改善せず、111Indium-pentetreotide集積も認められず、SSTR低発現のインスリノーマが示唆された症例を報告します。術後の組織学的検査では、SSTRの強い発現が認められました。さらに、SSTR2とSSTR5の細胞内ドメインを認識する抗体は強く陽性でしたが、細胞外ドメインを認識する抗体は低シグナルでした。したがって、インスリノーマ内で発現するSSTR2とSSTR5の細胞外ドメインは変性している可能性が示唆されました(図1)。オクトレオチド試験は、腫瘍におけるSSTRの発現を予測できる可能性がありますが、本症は術前オクトレオチド評価の結果と術後のSSTR発現に矛盾が生じるSSTRの異常な形態を発現するインスリノーマと考えられます。今後、SSTR細胞外ドメインの変性機序が明らかになることを期待します。

インスリノーマ内で発現するSSTR2とSSTR5の細胞外ドメインは変性している可能性を表した画像

SSTR2の細胞外ドメインと細胞内ドメインに対する抗体を用いた組織学的検討

上段の膵島ではSSTRの細胞内、細胞外ドメインの両方が発現している一方、下段の腫瘍部では細胞外ドメイン(左)は発現しておらず、細胞内ドメイン(右)は強発現していた。