成田キャンパス

糖尿病・代謝・内分泌内科学教室

教室紹介

竹本稔教授(代表)の論文が掲載されました。

2024年10月15日 竹本稔教授(代表)のケースレポートが掲載されました(Advance Online Publication)。

Long-term follow up of a single case of metabolic surgery in an elderly Japanese patient with severe obesity.

Takemoto M, Yamaguchi A, Hayashi A, Kono T, Ishida A, Maezawa Y, Hayashi H.
Geriatr Gerontol Int. 2024 Oct 15. doi: 10.1111/ggi.14996. Online ahead of print. PMID: 39410738

解説

竹本稔教授を委員長とする日本肥満症治療学会の高齢者減量・代謝改善手術の適応委員会では、これまで高齢者高度肥満症に対する減量・代謝改善手術の現状を検討してきました。同学会のデータベース解析により、我が国において高齢者であっても、減量・代謝改善手術は若年者と比較して同等の安全性を有し、減量効果や併存症改善効果が得られることが明らかとなり、論文発表されています(Takemoto M et al. Ann Gastroenterol Surg. 2023;7:750-756.)。この国内外の研究結果を踏まえ、日本肥満学会発刊の日本肥満症治療学ガイドライン2020および日本肥満症治療学会発刊の減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症診療ガイドライン2024では、減量・代謝改善手術の年齢上限が撤廃されました。ただし、これまでの検討は、日本肥満症治療学会が認定した経験豊富な施設での成績に基づいており、高齢者の手術適応は、個々の患者におけるリスクとベネフィットを慎重に評価する必要があります。

今回の症例報告は、10年前、65歳で千葉大学にて減量・代謝改善手術を受けられた患者さんの術後10年における経過を検討したものです。その結果、術後10年経過しても減量効果が持続し、併存していた糖尿病も良好にコントロールされており、高齢者機能評価においても認知機能やADLが維持されていることが示されました。一方で、骨密度の低下が認められ、注意が必要であることが明らかになりました。

現在、より多くの症例で検討するため、全国多施設共同の前向き研究が進行中です(高齢者高度肥満症患者の減量・代謝改善手術術後のADL、QOL調査 多施設共同・前向き調査)。