成田キャンパス
整形外科学教室

整形外科学教室

診療概要

脊椎脊髄・側弯症センター

脊椎脊髄・側弯症センターは現在4名の脊椎脊髄病指導医と1名の脊椎脊髄病専門医が治療を担当し、年間手術件数は200件を超えています。
当センターでは脊椎外科一般、側弯症などの脊柱変形、頚椎、腰椎の変性疾患、靭帯骨化症、リウマチ性脊椎炎、転移性脊椎腫瘍、脊椎感染症、透析脊椎症、脊椎外傷、脊椎・脊髄腫瘍など幅広い分野の脊椎疾患に対応し、治療を行っています。 治療においては内科やリハビリテェーション科、小児科等の診療科と協力し、看護師や理学療法士といった他職種との緊密な連携を通して、診療にあたっています。
また当センターでは疾患の予後予測や病態の解明、民族性や性別などの多様性が治療に与える影響の調査や新しい医療用デバイスの開発など、さまざまな基礎的および臨床的研究を行っております。

当センターの基本方針

1.治療方針決定プロセスの共有

患者様ごとに背景や治療に対する要望は異なります。当センターでは外来・入院診療においてそれぞれの患者様の要望を十分に組み入れて、患者様やご家族と一緒に治療方針の意思決定を行ってまいります。

2.安全・安心で高度な医療の提供

近年の研究から、同じ年齢や性別の患者様でも病気や手術などの体に侵襲があった際の回復のしやすさは異なることが明らかになっています。当センターでは他の診療科や多職種と連携し、一人一人の患者様の状態やご要望を十分に検討して、安心・安全で最良の医療を提供いたします。

3.新たな診断・治療法の開発

人工知能やロボット技術に代表される新たなテクノロジーや遺伝子解析は、これまでに診断や治療が困難であった疾患の診断や治療を可能にしています。しかし、いまだに治療の困難な疾患が存在します。当センターでは患者様と協力して、新たな診断・治療法の開発を行ってまいります。

4.国内外を牽引する専門性の高い人材の育成

当センターでは4名の脊椎脊髄病指導医と1名の脊椎脊髄病専門医が治療の責任を担っています。急速に変化する現在の社会および医療において、国際感覚を兼ね備えた次世代を牽引する若い人材を育成します。

5.働きがいと誇りを持つ職場作りの実践

COVID-19に代表される疾患の流行など、病院を取り巻く環境は日々変化しており、医療従事者の負担は増大傾向にあると考えられます。一方で、近年は働き方の多様性が提唱されています。当センターではセンター従事者が働きがいと誇りを持ち、心と体の健康を維持できる職場作りを行うことで、最善最良の医療を提供します。

代表的疾患

腰椎椎間板ヘルニア

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。椎間板ヘルニアとは、椎間板の中央にある髄核の一部が周りにある線維輪の亀裂から出て、後方の脊髄や神経根を圧迫してしまう病気です。原因は加齢、重量物の挙上など外的な負荷、スポーツなどの外傷、また近年では遺伝的な関与も指摘されています。腰椎椎間板ヘルニアは20~40歳代に発症することが多く、男女比は約2:1と言われています。

症状
症状は腰の痛みのほか、下肢(殿部、大腿部、下腿、足など)に放散する痛みやしびれが特徴的で、激しい痛みにより歩行が困難となる方もいます。

検査方法
椎間板の傷み具合や膨隆の程度、不安定性の有無、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。その他、入院して行う脊髄造影検査や、神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロック、あるいは椎間板造影や椎間板ブロックを行うこともあります。成人期では血管性の下肢の痛みがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法
まずは鎮痛薬やブロック治療、コルセット、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療に抵抗性の場合、足の力が入りづらくなったり(麻痺)、排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりするなど重篤な神経障害を生じた場合、また早い社会復帰を希望される場合には手術治療を考慮します。麻痺や膀胱直腸障害が顕著な場合には、放置すると回復がしないこともあるので早めの手術が必要になります。当センターでは、適応をよく検討した上で、なるべく負担の少ない手術法を取り入れています。近年、保存治療と手術治療の間に位置するような治療として、コンドリアーゼという酵素を椎間板に注入して椎間板を縮める治療法もありますが、適応や効果には個人差があります。

腰椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲手術には以下の種類があります。

腰部脊柱管狭窄症

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。加齢性変化などにより腰椎の脊柱管が狭くなると、神経組織を圧迫し、下肢のしびれや痛み、脱力などを生じるようになります。この病態を腰部脊柱管狭窄症と言います。中高年における坐骨神経痛の多くは、腰部脊柱管狭窄症によるものです。高齢化とともに年々患者数が増加しており、推定患者数は約580万人と言われています。

症状
腰の痛みのほか、下肢(殿部、大腿部、下腿、足など)に放散する痛みやしびれが出ます。間欠跛行と言われる症状が特徴的で、立ったり歩いたりすると腰や下肢の痛み、しびれが強くなり、前かがみや座って休むことで再び歩けるようになるといった症状です。重度になると、安静時にも下肢の痛みやしびれが出現するようになります。間欠跛行は、血行障害によっても似た症状がでることがあり注意が必要です。

検査方法
せぼねの変形や椎間板の傷み具合、不安定性の有無、脊柱管の狭さ、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査や、同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。成人期では血管性の下肢の痛みがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法
まずは鎮痛薬やプロスタグランディン製剤(脊柱管内の血流を改善する)、コルセット、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療に抵抗性で保存治療では改善が乏しく日常活動が制限されている場合、足の力が入りづらくなったり(麻痺)、排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりするなど重篤な神経障害を生じた場合には手術治療を考慮します。術式は除圧のみの術式と固定を併用する術式に大別されます。除圧術では、脊柱管が狭くなっている部分の骨や靭帯などを一部削り、脊柱管を広げることで神経の圧迫を取ります。不安定性がある場合などには固定術を行います。当センターでは、適応をよく検討した上で、なるべく負担の少ない手術法を取り入れています。

腰部脊柱管狭窄症に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

腰椎変性すべり症

どんな病気
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。腰椎変性すべり症は、椎間板などの加齢性変化により腰の骨が前方にすべってしまう病気です。中年以降の女性に多く、4番目や3番目の腰の骨に多く見られます。腰の骨がずれると、神経の通り道である脊柱管が挟くなり、腰部脊柱管狭窄症と同様の症状が生じます。

症状
腰部脊柱管狭窄症と同様に、腰の痛みのほか、下肢(殿部、大腿部、下腿、足など)に放散する痛みやしびれ、間欠跛行、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりします。

検査方法
せぼねの変形や椎間板の傷み具合、すべりや不安定性の程度、脊柱管の狭さ、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査や、同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。成人期では血管性の下肢の痛みがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法
まずは鎮痛薬やプロスタグランディン製剤(脊柱管内の血流を改善する)、コルセット、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療に抵抗性で保存治療では改善が乏しく日常活動が制限されている場合、足の力が入りづらくなったり(麻痺)、排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりするなど重篤な神経障害を生じた場合には手術治療を考慮します。術式は除圧のみの術式と固定を併用する術式に大別されます。除圧術では、脊柱管が狭くなっている部分の骨や靭帯などを一部削り、脊柱管を広げることで神経の圧迫を取ります。不安定性が強い場合などには固定術を行います。当センターでは、適応をよく検討した上で、なるべく負担の少ない手術法を取り入れています。

腰椎変性すべり症に対する手術には以下の種類があります。

腰椎分離症・分離すべり症

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。腰椎分離症とは、腰の骨の後ろの部分にある上・下関節突起間部と呼ばれる部分の連続性が断たれた状態を言います。上・下関節突起間部に疲労骨折が生じ、偽関節(骨がくっつかない)になると腰椎分離症となります。さらに、腰の骨が前方にすべってしまうと腰椎分離すべり症と呼ばれ、分離症患者の10~20%が分離すべり症に移行すると言われています。

症状
腰椎分離症は、青年期に運動をたくさんしたり、スポーツ選手に起こりやすい病気です。背中を反ったりひねったりした際などに腰に強い痛みが生じやすく、また分離すべり症となると分離部付近にある神経根を刺激して下肢(殿部、大腿部、下腿、足など)に放散する痛みやしびれ、時に脱力が出たりすることもあります。形成不全性すべり症と言って先天的な高度すべり症を除き、排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)をきたすことは基本的にありません。

検査方法
せぼねの変形や椎間板の傷み具合、すべりや不安定性の有無、脊柱管の狭さ、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査や、同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。成人期では血管性の下肢の痛みがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法
青年期かつ発症後間もなくであれば、コルセットや安静などの保存治療により、疲労骨折した部位が骨癒合(骨がくっつく)することが期待できます。成人期では保存治療による骨癒合は原則期待できません。骨癒合が得られない場合には、痛みをコントロールすることが治療の主体となります。鎮痛薬やコルセット、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみますが、改善が乏しく日常活動やスポーツ活動が制限されている場合、足の力が入りづらい(麻痺)場合などには手術治療を考慮します。腰椎分離症に対する手術は主に2つで、分離部修復術と椎体間固定術があります。椎間板の傷み具合やすべりの有無、年齢などで適応を判断します。当センターでは、適応をよく検討した上で、なるべく負担の少ない手術法を取り入れています。

腰椎分離症・分離すべり症に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

側弯症:こどもの側弯症、大人の側弯症

子どもの側弯症

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。正常な状態では脊椎は正面から見ると真っ直ぐです。一方側弯症では正面から見た時に椎体がねじれ(回旋)を伴いながら、脊椎が左右に曲がっている状態です。側弯症の発生頻度は、装具治療の対象となる20-30度度以上の側弯症はおおよそ0.3~0.5%と報告されています。手術が必要な可能性が出てくる40度以上の側弯はおおよそ0.1%です。

原因
こどもの側弯症には様々な原因があります。一番頻度の高いものは特発性側弯症です。特発性とは「原因が現時点で不明である」という意味です。特発性側弯症の原因を世界中で研究されていますが、今のところはっきりとした原因は分かっておりません。特に思春期の女児に多いことがわかっています。そのほかの側弯症として脊髄などの中枢神経の異常に伴う側弯症(神経原性側弯)、筋肉の疾患に伴う側弯症(筋原性側弯症)、椎体の変形による側弯(先天性側弯)、そのほかマルファン症候群などの結合組織の異常に伴った側弯症など、様々な側弯症の原因が分かっております。

症状
側弯症では脊柱が曲がってくるため、以下のような外見状の変化が生じる場合があります。

1.肩の高さの非対称
2.腰のくびれの非対称
3.骨盤の傾き
4.肩甲骨部の背中の出っ張り

特に最も多い胸椎が右に弯曲する側弯症ではアダムステストと呼ばれる体幹を前に屈めるテストを行うと、右の背中が盛り上がります。痛みや機能の障害を伴うことは比較的稀です。

治療法
こどもの側弯症の治療法は側弯の程度に応じて以下のように分けられます。

1.経過観察
3-12ヶ月毎にX線を撮影して側弯の進行を確認します。このような場合はカーブの大きさがコブ角で25度以下の軽度の側弯症の場合です。

2.装具治療
骨成熟前(おおよそ14-15歳以下)でコブ角が25度前後の場合に開始します。装具は、初期には一日中着用します。おおよそ16歳前後まで着用します。装具治療開始後は3-4ヶ月毎にレントゲンを撮り、カーブの進行の有無を確認します。装具は個人ごとに最も側弯の矯正に見合った形に型取りをしてオーダーメイドで作成します。近年の米国での信頼性の高い研究でも長時間の装具の着用が側弯症の進行の予防に効果的であることが報告されています。

3.手術療法
手術の最大の目的は側弯の進行の予防です。進行の確率は、10~12歳の場合、コブ角30度以上の側弯では約90%の確率で、コブ角60度以上の側弯の場合は100%の確率で進行します。仮に重度の側弯症になった場合、疼痛や整容的な問題にとどまらず、肺機能の低下(息切れ)が生じます。これは脊柱の変形によって肺が圧迫されるためです。骨の成長終了後(18-20歳以上)もコブ角が40度を超えた側弯症は年間0.5~1度程度の進行があるといわれております。成長終了後の側弯症では、今後の側弯の進行の可能性と手術の危険性などを主治医と相談して、手術を受けるかどうか決めたほうが良いと考えられています。

こどもの側弯症に対する手術には以下の種類があります。

おとなの側弯症

どんな病気?
おとなの側弯症には主にせぼねの加齢による変形が原因となる変性側弯症と子供の頃からせぼねの変形があり、成人後に進行した特発性側弯症の成人期遺残があります。変性側弯症と症状は腰痛から始まることが多いのですが、変形した組織が神経を圧迫すると下肢の痛みや筋力低下などの神経症状が進行することもあります。特発性側弯症の成人期遺残では症状は全くない場合もありますが、軽度の腰痛や背中の痛みがある場合が多いです。いずれの側弯症でも変形が進行すると体幹のバランスを保てなくなり、杖などの支えが必要な状態となります。

  • おとなの側弯症   おとなの後弯症

原因
変性側弯症は椎間板や椎間関節といった脊椎の組織が変性することや、骨折による変形などにより脊椎が大きく弯曲してくる状態のことです。もともと特発性側弯症などがあり、そこから進行する患者さんもいますが、多くの場合は加齢そのものが原因です。特発性側弯症の原因は現時点では明らかではありませんが、遺伝的な原因や遺伝子の変異が影響していることが最近わかってきました。

検査方法
せぼね全体のバランスや変形の進行を見るための数ヶ月おきに立位でのX線検査やCT検査、MRI検査に加えて、進行例では脊髄の圧迫をより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査を行う場合があります。同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。また骨密度が低いと側弯症が進行する可能性があるため、骨密度検査を行う場合があります。

治療方法
症状が軽度であればコルセット、運動療法、痛み止めなどの対症療法が中心になりますが、進行例では手術が必要になります。手術は変形を矯正するのであれば、金属のインプラントを用いてせぼねの固定をおこなう必要があります。そのため変性側弯症の手術は患者さんへの負担も大きく、高い専門性を求められる手術です。しかし最近では患者さんの体への負担を軽減する方法が広まっており、高齢者の方でも手術治療の対象となってきました。

おとなの側弯症に対する手術には以下の種類があります。

びまん性特発性骨増殖症

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。びまん性特発性骨増殖症とは、前縦靭帯を中心に骨化が広範に起こることで、本来個々に動くべき脊椎が4つ以上くっついてしまう病気です。肥満や糖尿病などの生活習慣病との関連が指摘されており、近年増加傾向にあります。

症状
体幹の柔軟性が失われたり、転倒により骨折を生じやすいことがあります。非常に不安定性が強い骨折となったり、軽微な転倒後の数ヶ月後に神経障害を生じたりすることがあるので注意が必要です。

検査方法
脊椎や靭帯などの骨化の程度や、骨折の有無を判断するためにX線検査やCT検査、MRI検査を行う場合があります。骨折の有無は、X線検査のみでは診断が難しいことも少なくありません。また、生活習慣病との関連が指摘されているため、手足の血流や動脈硬化の有無を評価するため両手足の血圧を測ったり、骨脆弱性を評価するために骨密度検査を行うことがあります。

治療方法
生活習慣病との関連が指摘されているため、減量や糖尿病のコントロールをお勧めします。骨折を生じた場合には、コルセットによる装具治療で骨癒合(骨がくっつく)が得られることもありますが、放置した場合に偽関節(骨がくっつかない)や将来的な神経障害を生じやすいため、不安定性が強い場合などには、手術治療を考慮します。手術では一般に固定術が必要となります。当センターでは、適応をよく検討した上で、なるべく負担の少ない手術法を取り入れています。

びまん性特発性骨増殖症に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

骨粗鬆症性椎体骨折

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。骨粗鬆症性椎体骨折は、骨脆弱性のため脊椎が骨折してしまう病気で、骨粗鬆症のある高齢女性に多く見られます。尻もちなど軽微な転倒で発生することが多いですが、くしゃみ程度でも生じることがあり、約半数ははっきりとした原因が不明なためいつの間にか骨折とも言われています。

症状
腰や背部に痛みが生じます。非常に強い痛みになることもありますが、さほど強い痛みにならない時もあります。骨折すると椎体が変形し脊柱管内に突出すると、神経を圧迫するため下肢(殿部、大腿部、下腿、足など)に放散する痛みやしびれ、足に力が入らない(麻痺)、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりすることがあります。

検査方法
骨の脆さを評価するため、骨密度検査を行います。せぼねの変形や椎間板の傷み具合、すべりや不安定性の程度、脊柱管の狭さ、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査なども行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査や、同時にどの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするために神経の枝に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合があります。成人期では血管性の下肢の痛みがないか評価するために両手足の血圧を測ることもあります。

治療方法
コルセットや安静、疼痛コントロールなどの保存治療が基本です。3カ月程度で骨癒合(骨がくっつく)し、次第に痛みも改善します。痛みが軽度〜中等度の場合には外来通院が可能です。痛みが強く歩行が困難な場合には、入院治療が必要になることがあります。足の力が入りづらくなったり(麻痺)、排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)が出たりした場合、早期離床を目指す場合、あるいは骨折の治りが悪い時には手術治療が考慮されます。低侵襲手術として、つぶれた骨にセメントや人工骨を補填する椎体形成術があります。不十分な場合には、金属性のスクリューなどで脊椎を固定し安定化させる方法もあります。

骨粗鬆症性椎体骨折に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

頚椎症性脊髄症・神経根症・頚椎椎間板ヘルニア

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。頚部の神経組織は、脊髄と枝分かれする神経根から構成されています。頚椎症性脊髄症は、骨の変形や椎間板の膨隆、あるいは不安定性などにより、頚椎の脊柱管の狭小化が生じることで頚髄が圧迫される病気です。脊柱管が比較的狭い日本人は欧米人に比べて発症しやすい特徴があります。また、頚椎症性神経根症は椎間板の膨隆や骨棘(骨のトゲ)によって神経根が圧迫される病気です。

症状
局所の症状として、頚部や背部の痛み、また肩こりなどの症状が出やすいです。脊髄が障害されると、手指の巧緻運動障害(箸が持ちづらい、字が書きづらい、ボタンが上手くはめられない)、痙性歩行(ふらつき・つまずきやすい・歩行がぎこちない)、膀胱直腸障害(頻尿・残尿感)などの症状が生じます。神経根が障害された場合には、どちらか一方の腕や肩甲骨の裏側に放散する痛みやしびれ、力が入りにくいといった症状が生じます。

検査方法
せぼねの変形や椎間板の傷み具合、すべりや不安定性の有無、脊髄の圧迫の程度、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査を行う場合があります。どの神経が痛みの原因となっているかを明らかにするため、あるいは除痛目的に神経根に直接麻酔薬を注入する選択的神経根ブロックを行う場合もあります。成人期では血管性のしびれがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法
頚部痛などの局所症状に対しては、鎮痛薬やビタミン製剤などの内服、カラー、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療で十分な効果が得られない場合、あるいは手足の力が入りづらい(麻痺)、歩行が不安定、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)がある場合などには手術治療を考慮します。神経根症では頑強な疼痛の持続や、麻痺が進行性であれば手術治療を考慮します。重度の脊髄障害は、不可逆的になり回復が困難となることがあるため、早急な外科的治療を要することがあります。

頚椎症性脊髄症・神経根症・頚椎椎間板ヘルニアに対する低侵襲手術には以下の種類があります。

後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症

どんな病気?
せぼね(脊椎)は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙椎から構成されます。腰椎は主に5つの骨と、間にあるクッションのような椎間板、また神経組織が通っている脊柱管から成り立っています。後縦靱帯骨化症は椎体の後面で脊髄の前にある後縦靱帯が骨化する病気で、黄色靭帯骨化症は脊髄の後ろにある黄色靭帯が骨化する病気で、頚椎が最も発症頻度が高いですが、胸椎や腰椎にも起こり得ます。いずれも根本的な治療法がないことから、厚生労働省難治性疾患克服研究事業の対象疾患に指定されています。白人に比べて東アジアや日本人に多く、頚椎後縦靱帯骨化症は本邦で約3%、男女比はおおよそ2:1ですが、全身性の骨化では女性に多いことが知られています。家族内発症もあることから遺伝的関与の可能性、そのほか肥満や糖尿病との関連も指摘されています。

症状
後縦靱帯の骨化や黄色靭帯の骨化があるからといって、必ずしも神経障害が出るわけではありません。但し、骨化のタイプや大きさによっては、発症や進行をしやすいことがあり、特に転倒による急激な悪化には注意が必要です。局所の症状として、頚部や背部の痛み、また肩こりなどの症状が生じます。脊髄が障害されると、手指の巧緻運動障害(箸が持ちづらい、字が書きづらい、ボタンが上手くはめられない)、痙性歩行(ふらつき・つまずきやすい・歩行がぎこちない)、膀胱直腸障害(頻尿・残尿感)などの症状が生じます。

検査方法
骨化のタイプや大きさ、不安定性の有無、脊髄の圧迫具合、またせぼね全体のバランスなどを見るためにX線検査やCT検査、MRI検査などを行います。進行例では脊柱管の狭さをより詳しく評価するために入院して脊髄造影検査を行う場合があります。成人期では血管性のしびれがないか評価するために両手足の血圧を測ったり、骨粗鬆症の有無を評価するために骨密度検査を行うこともあります。

治療方法
肥満や糖尿病がある方は、減量や糖尿病のコントロールをお勧めします。頚部痛などの局所症状に対しては、鎮痛薬やビタミン製剤などの内服、カラー、リハビリテーションなどの保存治療で経過をみます。保存治療で十分な効果が得られない場合、あるいは手足の力が入りづらい(麻痺)、歩行が不安定、また排尿や排便に障害(膀胱直腸障害)がある場合などには手術治療を考慮します。重度の脊髄障害は、不可逆的になり回復が困難となることがあるため、早急な外科的治療を要することがあります。

後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症に対する低侵襲手術には以下の種類があります。

脊椎腫瘍

どんな病気?
脊椎腫瘍はいわゆる脊椎(せぼね)にできる腫瘍です。原発性脊椎腫瘍と転移性脊椎腫瘍(がんなどの転移)に分類されます。原発性脊椎腫瘍は種類も豊富で若い方からお年寄りの方までの幅広い年齢層にみられますが、頻度は高くありません。転移性脊椎腫瘍は、中・高齢者に多い傾向にあります。肺がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、甲状腺がん、腎細胞がんなどが頻度の高い原発巣です。発生部位により頚椎、胸椎、腰椎、仙骨腫瘍に分類されます。

  • 甲状腺がんの第5頚椎転移の症例

治療方法
脊椎腫瘍に対する治療は様々ですが、原因となっている腫瘍に対する治療が最も重要となります。従って、原因となる腫瘍を治療する主科と整形外科との密接な連携が重要となります。近年では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬等の薬により、これまで良い治療成績を得るまた、ことが困難であった腫瘍に対しても、長期の予後が期待できるようになって来ています。その中で、脊椎への転移は麻痺や疼痛のために生活の質を著しく悪化させる可能性がある疾患です。そこで、脊椎への転移への治療は原因となっている腫瘍に対する十分は治療の継続を前提としながら、放射線治療や骨修飾薬の組み合わせが中心となります。しかし、脊椎の骨破壊が著しく、脊椎の不安性性により疼痛が強い場合や、脊髄を腫瘍が圧迫する(または可能性が高い)場合には手術を行い、術後にその他の治療を組み合わせて治療を進めていく場合があります。

脊椎腫瘍に対する手術には以下の種類があります。