臨床業務
ペインクリニック・緩和医療
2010年4月より開設されたペインクリニック部門は、国際医療福祉大学市川病院にて、毎週火/土日の09:00-16:30まで外来を行っている。また、外来患者だけでなく、必要に応じて入院患者も適時、受け入れている。
主な対象疾患は、座骨神経痛や三叉神経痛などの各種神経痛、帯状疱疹関連痛、腰痛、頸部痛、多汗症、線維筋痛症、複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome: CRPS)、腰椎手術後疼痛症候群(Failed Back Surgery Syndrome: FBSS)、線維筋痛症、がん疼痛、抗がん剤性ニューロパチーなど、およそペインクリニックでカバーする疾患である。
本部門の特徴は、神経障害性疼痛治療薬や麻薬、漢方薬を用いた薬物治療に加え、神経ブロックなどのインターベンションも積極的に行っている点である。外来においては、トリガーポイント注射や硬膜外ブロック、手術室においては神経根ブロックや高周波熱凝固療法などを日常的に行う。
学会や研究会などを通じて最先端の診断・治療法を会得し、患者にフィードバックしている。例えば、超音波装置を使った神経ブロックや、ボトックス療法、脊髄電気刺激療法、硬膜外ポート、Raczカテーテルなどである。痛みの改善とともに、当院のリハビリテーション施設とも連携し、生活・機能改善を促している。また、こうした治療を行っても痛みがいっこうに改善しない患者には、他院と連携し、患者の痛みに対する考え方を変える認知行動療法も勧めている。
本部門は、病院近辺の開業医や、院内の他科からの紹介も多く、一月あたりのべ120人の患者を診察している。読売新聞や各種メディアにも取り上げられた。
集中治療
集中治療室(ICU)では、開心術や開頭術、消化器大手術(食道、肝胆膵など)など大手術の術後管理を行います。術中管理を引き継ぎ、術後管理を行うことで切れ目のない医療を提供でき、患者様のより早い回復をめざします。また、院内発症や救急外来経由の重症症例の管理も行います。特に、人工呼吸器や腎代替療法、PCPSやECMOといった体外循環の管理には、各診療科の主治医のみでなく、集中治療に精通したスタッフの関与が重要です。そのため、ICUでは当該科医師だけでなく、集中治療専門医や感染症専門医などと連携し、看護師や薬剤師、臨床工学士、リハビリ療法士など様々な専門メディカルスタッフと協働してチームで治療に当たります。
近年、PICS(Post Intensive Care Syndrome:集中治療室退室後症候群)が注目されています。集中治療を受けた患者様は、ICU退室後も肉体的・精神的な合併症を併発し、日常生活に戻れない状態になりえます。そのため、集中治療にかかわる医療者の目標は、「命を救いICUを退室させること」ではなく、「自立した状態で退院し、日常生活に戻ること」であり、集中治療のゴールは短期的なものから長期的なものに変化しています。
急性期から集中治療管理を行いつつ、ICU退室後や退院後にすぐ日常生活に戻れるような先を見据えた管理をめざしています。