部・サークル活動
漕艇部(ボート部)
「3位、国際医療福祉大学。3分59秒87!」。レース結果を伝えるアナウンスが響き渡ると、試合後の艇の処理をしていたクルーの手が止まり、握手したり、抱き合ったり...。満面の笑みが広がった。
千葉県香取市の小見川漕艇場で2019年7月20日に行われた第74回国民体育大会関東ブロック大会ボート競技。「成年女子舵手付きクォドルプル予選B組」(1000㍍)に千葉県代表として出場した漕艇部は、東京都代表の明治安田生命と群馬県選抜に敗れはしたが、創部以来の目標の4分を切り、感激に浸った。4人がそれぞれ左右2本のオールを握り、コックスの指示で漕ぐ競技。この後行われた敗者復活戦でも4艇中最下位だったものの、記録を3分58秒10とさらに伸ばした。
成田キャンパスの医学部生を中心とした漕艇部は、前年2月に10人ほどが集まって月1回、埼玉県戸田市の戸田漕艇場などでナックル競技を体験するサークルとしてスタートした。2カ月後には、東日本医科学生総合体育大会(東医体)などの公式試合に出るため、部活部門を創設し、活動を重ねている。
現在の部員数は男女合わせて約20人。今回の種目のほか、男子は舵手付きフォアやシングルスカルの選手がいる。練習は週4回。男子は午前3時、女子は午前4時に小見川漕艇場に集まり、7時までボートを漕ぎ、8時20分には約40㌔離れた成田キャンパスに登校し、授業を受ける。体力的にはかなりきつそうだが、部員たちはボートを漕ぐことを心から楽しみ、文武両道を体現している。
部員のほとんどは大学に入ってから初めてオールに触った人たち。「強い他大学の選手たちも入学してから始めた人が多い。私たちにもできるはず」。上級生や指導者がいない中、ボートの歴史が長い他大学と一緒に練習や合宿をするなど、試行錯誤を繰り返している。
部長の長野友香さん(医学科3年=当時)に聞くと、「練習場所が遠く、電車も不便でレンタカーを使い、交通費がかさむ」「忙しく厳しいカリキュラムの中、練習日程確保が難しい」「陸からのビデオ撮影が進歩には不可欠なので、陸上マネージャーがいてくれれば」と話す。「大学スポーツのボートをできるチャンスは今しかない。興味ある人、少しでも応援してくれる人が1日でも来てくれると嬉しい」と部員募集に余念がない。この試合で監督を務めた小池朔太郎さん(医学科3年=当時)は「4年になるとキャンパスから遠く離れた附属病院での臨床実習が増える。そうした中でどうやって活動を続けていくかが課題」という。
部員の悩みは多いが、長野さんは「目標は東医体優勝、医療系レガッタで表彰台」と言い切る。将来の夢は「私たちが6年生になったら、成田キャンパスと漕艇部主催で学生・教員・事務の方が参加する運動会のような学内レガッタを開きたい」。クルーたちの瞳は輝いている。(『IUHW118号』より)