教室紹介
ごあいさつ
国際医療福祉大学医学部 脳神経内科学教室 教授(代表) 村井 弘之 |
みなさん、こんにちは。
国際医療福祉大学医学部脳神経内科学教室の教授(代表)を拝命いたしました村井です。これまで慣れ親しんだ「神経内科」という標榜診療科名が「脳神経内科」へと変更されたのは2017年のことです。これは当科の診療内容を一般の方々によりよく理解していただくためです。「脳神経内科」と標榜することで心療内科や精神神経科などと混同されることが少なくなり、頭痛、脳卒中、認知症、てんかんといったコモンな疾患を専門的に診療する科ということが広く認識されていくことが期待されています。
一方、脳神経内科には数多くの神経難病が存在します。その疾病の数といったら膨大です。私が学生のころは神経内科といえばそのような神経難病をああでもない、こうでもないと診断するだけ、治療は何もしない、というような陰口をたたく人がたくさんいました。たしかに当時は診断に重きをおく先生が多かったのは事実です。
しかし、時代は大きく変わりました。当時治療法がない、あるいはあっても限定的だった疾患がこの30年あまりで治るようになり、進行しなくなっています。その立役者は種々の免疫治療、血管内治療、分子標的治療、遺伝子治療などです。血栓溶解療法、ボツリヌス毒素、深部脳刺激療法なども時に目をみはるような効果を見せてくれます。
とはいうものの、神経変性疾患のようにいまだに治療効果が不十分な疾患がたくさん残っていることもまた事実です。そういう患者さんに向き合うと無力感にさいなまれることもあります。しかし、ここに心に刻むべき重要なポイントがあります。医学の対象は治療可能な疾患だけではないのです!現在の医療で治療できない疾患でも、その患者さんにとってなにがベストなのか、何ができるのか、これを一人ひとりと対峙して一生懸命に考えることが医学の基本的な姿勢であろうと思います。
脳神経内科にはいまだに多くのブラックボックスが残っています。それはとりもなおさずこれから飛躍する「伸びしろ」がもっとも大きい診療科であるということを意味します。これから来るべき「治る脳神経内科」を経験したい方、是非われわれと一緒にブラックボックスに立ち向かっていきましょう!