日本医療検査科学会 第56回大会でJACLaS Award I 2024を受賞
2024年10月4日(金)~6日(日)に日本医療検査科学会 第56回大会がパシフィコ横浜にて開催され、成田保健医療学部 医学検査学科4年生の藤沼崚太さんが JACLaS Award I 2024を受賞しました。
JACLaS Awardは臨床検査を学修する学生・大学院生の研究を表彰するもので、優秀な研究発表に贈られる賞です(JACLaS Award はIとIIがあり、Iは学部生対象、IIが大学院生対象)(運よく2年連続して当研究室が受賞しました)。
研究課題:「胃内ストレス環境がH. pyloriの菌体およびOMVの Lpp20発現動態に及ぼす影響」
藤沼さんは指導教員(竹内啓晃教授)のもとでピロリ菌感染が胃外疾患の発症リスクとなる機序の一部を、ピロリ菌が放出する細胞外小胞に注目し解析した独創的で先駆的な研究内容です。その小胞内にLPP20(血小板に結合し活性化・凝集亢進する菌体成分)の存在を証明し、かつ外部ストレスによりピロリ菌が放出する小胞量が異なることなどを明らかにしました。これにより、ピロリ菌株と胃内ストレスの組合せが胃外疾患の発症リスクに影響することおよび発症率(個人差間)の理解に繋がると思います。
受賞された藤沼さんに大会参加のきっかけや受賞の感想、今後の抱負について伺いました。
<大会参加のきっかけ>
私が本学会の参加を決めた大きな理由は、一つ上の先輩が前年度の本学会でJACLaS AwardⅠを受賞したためです。私は、卒業研究を行うにあたり、何か形に残ることをしたいと思っていました。その時に、先輩が竹内教授の指導下でJACLaS AwardⅠを受賞したことを知り、参加を決めました。受賞が決まったときは、臨地実習中で、一挙に疲れが吹き飛ぶほど嬉しかったことを覚えています。発表までは、研究期間中に臨地実習があるなど研究に充てる時間が限られていましたが、先生や先輩、ゼミ仲間のサポートのおかげで、無事に研究をまとめることができました。
当日は、初の学会参加ということもあり、できるだけ多くのセクションに参加して、発表のイメージを固めていました。発表までに何度も練習をして、焦らないように自分に言い聞かせて臨みました。登壇したときに、聴衆の真剣な雰囲気に圧倒されましたが、時間をかけて何度も修正・改良したスライドで自信をもって発表できました。学会発表を通して、様々な分野の発表を聞き、幅広い領域を勉強することができました。また、様々な方とお話しすることができ、様々な分野に対する視野が広がり、とても良い経験となりました。
<受賞の感想>
受賞が決まったときは、とても嬉しかったです。学会に提出する抄録の作成を開始したのが、提出期限の約一か月前と時間がかなり限られた中で、先生や先輩から、研究の進め方や結果の考え方・まとめ方など、様々ことを親身になって教えていただきました。抄録も、提出期限の直前までディスカッションをして、内容をブラッシュアップすることができたことでこの賞を受賞できたと思います。お忙しい中ご尽力いただいた竹内教授をはじめ諸先生方、先輩方には本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。
<今後の抱負>
今後は本学大学院に進学しこのテーマをさらに詳細に解析し、臨床応用に発展できるようにしたいと考えています。菌体Lpp20のOMVへの移行機序やストレスに対するLpp20の発現機構の解析は、胃内感染するH. pyloriのLpp20発現動態の解明およびLpp20関連疾患の病態解明に繋がると考えています。
研究活動を通して、論理的な思考を学び臨床と基礎研究のつながりを強く意識しながら、問題点の認識・抽出そしてアプローチの構築から解決までの考え方を身に着けたいと考えています。