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学科トピックス

高木理事長、第123回日本外科学会定期学術集会で講演

2023.06.17

 2023年4月27日(木)~29日(土)の3日間にわたり、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪にて開催された第123回日本外科学会定期学術集会の特別講演に、本学の高木邦格理事長が登壇しました。特別講演は4月29日の会期最終日、大規模なイベント会場として日本有数規模である同ホテル「飛天」に設けられた会場で行われました。高木理事長は「医学教育・医療の国際化」をテーマに、国際医療福祉大学・高邦会グループの紹介、医学部新設の経緯や苦難、今後の国際医療協力、外科医へのエールに至るまで幅広く話題を展開しました。

 ■国際医療福祉大学・高邦会グループの紹介と医学部新設の経緯

 特別講演の冒頭、司会を務めた日本外科学会理事長の池田徳彦東京医科大学教授より、高木理事長のご紹介がありました。池田理事長は高木理事長と東京医科大学時代の同期で、高木理事長について「学生時代から親分肌で、とても面倒見のよい先生でした。現在、こうした大きなグループをまとめておられるのは、当時と変わらぬ先生の面倒見のよさが表れているからかもしれません」と紹介。その後、高木理事長に登壇が促され、約1時間にわたる特別講演がスタートしました。

 高木理事長は冒頭、国際医療福祉大学・高邦会グループについて、その成り立ちや歴史、現況について、スライドを用いて紹介しました。国際医療福祉大学の開学の目的の1つは、「チーム医療」の実践に欠かせない医療福祉専門職の養成を通じて医療福祉専門職の地位向上を図ることであったと話し、さらにその「チーム医療」の船長となる医師の養成を2005年ころから検討してきたことに触れました。そして「過去の慣習にとらわれない新しい医学教育の在り方」を検討するも、文部科学省大臣告示によって医学部新設を阻まれるなど、さまざまな苦難の末、国家戦略特区の活用によって千葉県成田市での医学部新設がようやく実現したことを紹介しました。

 ■国際医療福祉大学医学部の特長

 医学部開設にあたって、高木理事長は経営者として大きく4つの決断を下したことを紹介しました。その内容は、①1学年140人中20人を、アジアを中心とする海外からの留学生とし、学費や生活費など卒業までの6年間にわたり1人あたり約3500万円の奨学金を支給する「フルスカラシップ」②6年間で1850万円という「日本の私立の医科大学で最も低額な学費」③高木理事長が理事長を務める間は「医学部の学生や保護者からの寄附金は入学前も入学後も受け付けない」④医学部の基幹病院となり、アジアの拠点病院をめざす「国際医療福祉大学成田病院の開院」という国レベルの大規模な決断でした。

 また、医学部の特長として、これまでにない水準の医学教育(80週以上のクリニカルクラークシップ、1、2年次の英語による授業、必修・選択を合わせて720時間の英語教育、海外臨床実習など)、充実した施設・設備を生かした実践教育・臨床実習環境(5300平方メートル超の世界最大級のシミュレーションセンター、6つの附属病院、臨床医学研究センターなど)を挙げました。そして、2023年3月に卒業した医学部1期生の国試合格率は99.2%であり、受験した留学生15人全員が合格したことを報告。同月25日には医学部一期生卒業記念祝賀会、26日にはベトナム、モンゴル、カンボジア、ラオス、インドネシアを代表する医科大学の学長らを招き、本学医学部6年間の医学教育の取り組みを報告した国際医学教育シンポジウムを開催したことを、写真を掲載したスライドを用いて紹介しました。

 ■国際医療協力と外科医へのエール

 国際医療協力に積極的な理由について、高木理事長は、アメリカが戦後、医療福祉分野においても日本からフルブライト留学生を受け入れ、将来の日本の医療福祉分野を牽引するリーダーとなるよう育成したことに感銘を受けたことが背景にあると説明しました。そして、日本もアメリカ同様の取り組みが可能であると考え政府に働きかけたものの、実現に至る動きが見られなかったことから、1995年に大学新設を決意することとなったと話しました。そして開学以来、留学生を積極的に受け入れてきたことや、医学部以外の学部学科の学生も対象としている「IUHW奨学金制度」について、現在も年間10億円に上る予算で実施していることを紹介しました。

 「医療の国際化」については、インバウンドでは、国際医療福祉大学成田病院の予防医学センター・人間ドック、国際遠隔診断センターを核に、新型コロナウイルス感染症が5類に移行する5月8日以降、本格的に再稼働させることを語りました。また、アウトバウンドでは、「国際医療協力で重要な相手国の医療の足腰を鍛えること」をめざし、ベトナムなどで国際協力活動を展開していることを紹介。ベトナム・ホーチミン市で、高品質・高度医療を提供する「日本ベトナム友好病院(仮称)」を構想しているほか、モンゴル・ウランバートル市では、日本モンゴル教育病院内に、遠隔病理画像診断センターの開設を協議中で、今秋にも運用開始予定であると話しました。

 さらに、高木理事長は「地方の外科医療を守るため、海外からの医療ニーズに応えるため、深刻な外科医不足を解消しなければならない。そのためには外科医の仕事をより魅力的にする必要があるでしょう」と語り、混合診療の導入や外科医の報酬アップなど、インセンティブの必要性を強調しました。「外科の診療報酬を上げるよう要求するため、外科の先生方が、厚生労働省に強く声をあげてもいいのではないか」と働きかけ、外科医全体の地位が向上する取り組みの必要性を訴え、講演の最後には、「がんばれ!外科医」とエールを送りました。

 ■大木隆生会頭より感謝状の贈呈

 現地開催を中心としたハイブリッド形式で行われた特別講演には、数多くの参加者が集まり、高木理事長の話に興味深く聞き入る様子が見られました。講演後、大木会頭よりサプライズで感謝状が贈呈されました。

 大木会頭は感謝状の贈呈に先立ち、「医学教育や医療の国際化をテーマとした高木先生の特別講演に、かくも多くの皆様にお集まりいただき、企画した私どもとしても大変嬉しく思っています。こうしたスケールの大きなお話ができるのは日本でただ一人高木先生だけであり、皆様も本日の講演をお聞きになって圧倒されたのではないでしょうか。私の長年の支援者であり、恩人であり、大切な友人でもあり、日本の医療界で最も尊敬するのが高木邦格先生です。本当にありがとうございました」と壇上で感謝の言葉を述べました。会場から大きな拍手がわき起こるなか、特別講演は終了しました。

グランドプリンスホテル新高輪「飛天」に設けられた特別講演会場



1時間にわたり特別講演を行った高木理事長



司会を務めた日本外科学会理事長の池田徳彦東京医科大学教授



大木隆生会頭より感謝状のサプライズ贈呈を受ける高木理事長