小室一成副学長より「第120回日本内科学会総会・講演会」の会長報告
2023.04.14~04.16
本学の小室一成副学長が会長を務めた「第120回日本内科学会総会・講演会」について、小室副学長よりご報告いたします。
第120回日本内科学会総会・講演会を、2023年4月14日(金)、15日(土)、16日(日)の3日間にわたり、東京国際フォーラムにおいて開催しました。日本内科学会は1903年に創設されて以来発展を続け、現在117,852人の会員数を持つわが国最大の医学会です。今回も前回に引き続き、対面とwebを用いたハイブリッド形式での開催としました。中日は生憎の雨となりましたが、3日間で8,000人余りの方にご来場いただき、webを含めた合計参加者は42,590人でした。メイン会場である東京国際フォーラムのホールAもかなり多くの方が来場され、久しぶりに活気のある講演会となりました。
今回、本講演会のテーマは「新しい医学を協創する内科学」としました。これまでの内科学も、新しい診断技術・治療技術を開発することによって多くの疾患を克服してきました。しかしながら、2019年に始まった新型コロナ感染の世界的な広がりで明らかになったように、医学の進歩した現代においても新しい疾患が登場し人類の生存を脅かします。また、世界でも例を見ない超高齢社会を迎えているわが国においては疾病構造が大きく変化しており、内科学も従来の医学の枠組みを越えて、今までにない「新しい医学」を創造することが求められています。そのためには内科学以外の医学ばかりでなく工学、薬学、情報科学といった他の学術分野との協働や行政、企業との連携が重要です。また、医師以外のメディカルスタッフはもとより、最近では医療における患者・市民の参画(Patient and Public Involvement)の重要性も指摘されており、まさにすべての人の知を結集して新しい医学を「協創する」ことが必要です。
本講演会では、特別講演1題、招請講演5題、シンポジウム3題、パネルディスカッション1題、教育講演19題および会長講演が行われました。特別講演では、医学の分野でも目覚ましい応用が進んでいるAI研究の第一人者であられる松尾豊先生(東京大学工学部)に「医療におけるAIの活用」と題して、現在、世界中で大きな問題となっているChatGPTを中心にご講演いただきました。招請講演ではわが国の第一人者にその分野の最新のトピックスをご講演いただき、シンポジウムでは「COVID-19が与えたインパクト」「循環器学と腫瘍学の新たな接点-腫瘍循環器学の課題と将来-」「糖尿病治療の最前線」についてご講演いただきました。パネルディスカッション「分子情報から画像情報まで統合したAIによる内科学の進展」では、AI技術との融合により内科学が新しい医学へと進化していく近未来を体感していただけるようなご講演をいただきました。教育講演では、現在ホットな内科学領域について基本的な内容から最新の内容までをバランスよくカバーした講演をしていただきました。
また、「医学生・研修医・専攻医の日本内科学会ことはじめ2023東京」「市民公開講座」「働き方改革・ダイバーシティシンポジウム」などさまざまなサテライト企画も実施しました。さらに歴史と伝統ある日本内科学会総会・講演会が今回で第120回を迎えることを記念して、会期2日目の4月15日(土)に「第120回日本内科学会講演会 記念シンポジウム」を特別企画として開催しました。120年の内科学会の歴史を振り返り、現在の課題を整理し、さらに将来を展望する素晴らしい記念シンポジウムとなりました。
最後に、第120回日本内科学会総会・講演会におきましては、本学の多くの先生方にも座長、演者として大変お世話になりました。この場をお借りして篤く御礼申し上げます。
■第120回日本内科学会総会・講演会 ホームページ
https://www.naika.or.jp/meeting/120-info/