研究室レポート:宇宙医学研究会
学生レポート 長野友香 医学部医学科(5年)
~宇宙に行くチャンスをつかむために 宇宙医学研究の魅力~
■所属する研究室名と指導教員名を教えて下さい。
宇宙医学研究会に所属しています。国際医療福祉大学成田病院 血管外科の瀧澤玲央先生の研究会です。
■研究室に興味をもった理由(きっかけ)を教えて下さい。
宇宙医学研究会が正式に立ち上がったのは2021年5月ですが、先生方とは2020年10月ごろから活動しています。立ち上げ以降、後輩も含め宇宙医学に興味を持ってくれた学生が仲間になってくれてとても嬉しいです。
私は以前から学外団体(インカレ・コミュニティ)のspace medicine Japan youth communitySMJYCで研究室スタディーツアーや論文抄読会、宇宙航空医学の成書翻訳プロジェクト、講演会、学生交流・情報交換などの活動をしており、そのことも研究会に所属するきっかけになっています。
■どんな研究室ですか。
宇宙環境での医学研究や健康管理について研究しています。宇宙環境は微小重力、閉鎖空間、放射線被爆という特徴があり、宇宙医学と一口で言っても、基礎医学から放射線医学、精神医学、女性医学、救急医学、老年リハビリ医学など様々な分野と関わりがありバラエティに飛んでいます。
研究テーマは、宇宙旅行における民間人の健康管理で、先生方と論文を執筆しており、私は微小重力下での人体の変化(循環器系、筋骨格系)を担当しています。
■研究テーマを選んだ理由を教えてください。
まず、死ぬまでに宇宙に行く!が私の人生の目標・命題です。(宇宙飛行士も考えていましたが)そのためのチャンスを掴むためにも宇宙に関わり続けたいと考えています。
2021年はSpaceXやVirginなど民間宇宙開発での打ち上げがあり、まさに宇宙開発で革命が起きています。近い未来には厳しい訓練を行った宇宙飛行士以外の一般人も(中には糖尿病などの疾患を抱えながら)宇宙に行く時代が来ます。安全な宇宙旅行のため、医学の観点から予想されることを考え、研究し、貢献したいと考えるからです。
■研究テーマについて今後の展望を教えて下さい。
研究会としては、持ち寄ったアイディアや疑問を出しみんなで深めている段階ですが、今後はドライラボやウェットラボでの研究を通して形にして行く予定です。宇宙×医学に関する情報交換も活発で、2021年11月には日本宇宙航空環境医学会で演題発表する学生もいます。コロナウイルス感染症の状況が落ち着いた後にはJAXAや他の研究施設の見学も企画する予定です。
個人としては、チームで宇宙環境で起きうる病態や疾患をまとめて論文として投稿する予定です。産婦人科と救急に興味があります。両者の宇宙医学は発展途上なので宇宙空間で想定される女性特有の問題点や救急対応にフォーカスを当てていきたいと考えています。
■研究室での活動について、努力されている点、工夫されている点を教えて下さい。
月2回、18:30〜21:00に活動しています。学会や他のイベント等あれば追加して活動することもあります。研究会はまだ少人数なので、試験等も考慮し活動日程を決めることができます。研究室のメンバーのバックグラウンドは皆それぞれで年齢・学年関係なくメンバーを尊重し合うことを大切にしています。
■研究室の環境、雰囲気、アピールポイントなど教えて下さい。
宇宙医学はまだまだ知名度も低いですが、新しい分野です。宇宙医学研究会もなんでも挑戦しようという雰囲気です。1期生から4期生の学生と脳外科など臨床の先生方で活動しています。
先生方がとても気さくで学生思いであり、素敵なメンバーばかりで良い出会いがあると自負しています!宇宙に少しでも興味がある方お待ちしています。
指導教員レポート: 瀧澤玲央
~未知の領域を研究 好奇心をかきたて可能性を探求~
■研究室名を教えて下さい。
宇宙医学研究会
■研究室での研究内容を教えて下さい。
医学部血管外科学:瀧澤玲央と医学部乳腺外科学:黒住献先生で代表をさせていただき、医学部脳外科学:田中達也先生、医学部耳鼻咽喉科学:岡愛子先生とともに開催させていただいております。
宇宙医学に関しては臨床医学的な見知も少なく、今後の医療体制の必需品、体制、法整備なども含め未知な領域です。また、近年の民間宇宙産業の勃興は目を見張るものがあります。私たちは来るべき宇宙に人が行ける時代の医療とはどのようなものかを議論し、必要な資材や技術などを医学領域のみならず議論し研究を行っております。
宇宙医学研究会では学生さんたちが興味を持ってくれたテーマに沿って下記のような研究テーマを研究しています。『宇宙と微生物、細菌』『宇宙環境における免疫性変化』『宇宙滞在における細胞老化に対する影響について』『宇宙旅行と放射線被曝』『微小重力がもたらす声の変化と声帯の生理学的変化』『宇宙資源を効率的に分配する宇宙医学実験採択の手法とファンディング・スキームの提案』などがあります。
■学生の研究について、研究に取り組む姿勢などどのようなことを重視しますか。
宇宙医学という未知の領域を研究する会ですので、好奇心をかきたてて可能性を模索する姿勢を重視しています。難問に対しても否定的な考えをするのではなく、どのように解決に導けるのかといった前向きの姿勢で参加してもらうことをとても大切に考えております。
■研究室における学生の研究の到達目標はありますか。
年次開催の宇宙航空環境医学会において学生部門の発表や、論文作成などを目標としております。
2021年11月に開催された第67回宇宙航空環境医学会大会において学生5年生の川原彩文さんが『微小重力がもたらす声の変化と声帯の生理学的変化』を発表し、学生優秀賞を受賞いたしました。
■研究室の環境、雰囲気、アピールポイントなどを教えて下さい。
宇宙医学研究会は2021年に立ち上げた若い研究会ではありますが、賛同しご協力をいただいている教員は6名、また参加してくれている学生は全学年で12名になります。ゼミの雰囲気はとても穏やかではありますが、活発な議論が行われております。また、学外からのゼミの参加も積極的に執り行っており宇宙開発産業とのミーティングや他大学主催のSpace Medicine Japan Youth Communityなどとも合同でゼミの開催も行い、実社会の宇宙医学の最新の見知なども提供できる体制を整えております。