成田キャンパス
糖尿病・代謝・内分泌内科学教室

糖尿病・代謝・内分泌内科学教室

医学生・研修医・専修医の方へ

臨床について

代謝疾患は皆さんにとっても自分事です!

文明の発達とともに私達人類の平均寿命はここ100年間で倍以上に延び、食事の内容や体を動かす量が変わることで、昔はほとんど発症しなかった代謝疾患(生活習慣病)に多くの人が罹患するようになりました。したがって喫煙や食事、運動といった生活習慣を改善することが代謝疾患の治療の基本となります。また、生活習慣の改善は疾患の有無に関わらず長生きするための基本であり、皆さんにとっても大切なことです。一方で食べることは本能であり、代謝疾患の治療では本能という強敵と戦わざるを得ない状況によくなります。このような手強い代謝疾患に対して、医学においては様々な研究が行われ色々な進化が遂げられています。例えばインスリンの発見は20世紀最大の医学上の発見の一つと言われ、およそ100年前の1921年に外科医のバンティングと医学生のベストによってもたらされました。ベストのように皆さんが若くとも研究することで多くの患者さんを救える可能性があります。また、患者さんの思考や生活は多様であり、代謝疾患の治療は多岐にわたります。したがって治療にはチームでの関わりが必要不可欠で、1人ではなかなか解決できない大きな問題も専門家が協働することで解決することができます。さらに、生活習慣は人種や文化、年齢層によっても異なるので、代謝疾患を良くするためには目の前の患者さんだけを見ていれば良いのではなく、公衆衛生学的な視点も大切になります。地域の特性を理解し、地域の子供達への食育活動を行い、地域の大人達と協力して状況を改善していく、町づくりのような醍醐味を味わうこともできます。このように代謝疾患について学ぶことで、医学は勿論のこと、チーム医療や社会も含めた幅広い視点を得ることができます。

内分泌学は面白い!

20世紀初頭、Ernest Starlingらによるセクレチン(secretin)の発見、内分泌(Endocrine)・ホルモン (hormone)の命名に端を発し、内分泌学はこの約100年間で劇的に発展しました。我々の体内では、例えば脳下垂体のホルモンが離れた場所に存在する甲状腺・副腎・性腺などに作用する一方、それら標的臓器からのフィードバック機構により末梢のホルモンが中枢へと伝わることで、新陳代謝や糖・蛋白・脂質代謝、免疫・生殖機能などが実に巧妙に調節されています。また近年では、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、性腺などの古典的な内分泌臓器の他にも、様々な臓器からホルモンが分泌され、恒常性の維持に大きく影響することが明らかとなっています。例えば、脂肪細胞からのレプチン(leptin)や小腸からのインクレチン(incretin)が脳に働き食欲を抑制したり、骨芽細胞から分泌されるオステオカルシン(osteocalcin)が膵臓からのインスリン(insulin)分泌を促したりと、脂肪組織や骨組織に至るまで多くの組織がホルモンを介して連携しています。内分泌学は複雑なネットワークを理解する必要があり難解な部分もありますが、内分泌学を極めると患者さんの病態の本質を知ることができ、長年診断がつかずに病気に苦しんでいた患者さんが適切な診断と治療により劇的に改善することもあります。これが内分泌学の醍醐味の一つであり、医学生・研修医の皆さんにも是非、この醍醐味を味わって欲しいと思います。

研究について

内分泌学が多臓器に関連することもあり、当教室での研究課題も多岐に渡ります。例えば、竹本主任教授の研究グループは最近、加齢に伴い全身の筋力が低下する「サルコペニア」や、骨格筋に関連する疾患の治療に有効と見られるタンパク質R3hdmlを同定し、この研究成果は2019年9月16日、ヨーロッパ分子生物学機構の科学誌「EMBO reports」に掲載されました。一方、吉田准教授の研究グループは甲状腺ホルモン剤が効きにくい患者さんの病態を解析し、薬剤排泄トランスポーターABCG2がその病態に関与する可能性を示し、こちらは2019年10月16日に米国内分泌学会の科学誌「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」電子版に先行掲載されました。また、大西講師はコーチングといったコミュニケーション技法を用いて、糖尿病医療チームの活性化や糖尿病患者の行動変容を促す研究を、Byambatseren助教は抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗ZnT8抗体などの抗体が陰性のインスリン依存型糖尿病の疾患関連遺伝子の研究を行っています。

当教室の主な研究課題

臨床研究

  1. 横隔膜におけるサルコペニアの臨床的意義に関して
  2. 糖尿病ケトアシドーシスのインスリン治療に伴う低リン血症に関する検討
  3. 新しい動脈硬化、糖尿病腎症の診断、治療マーカーの探索
  4. コーチングを用いた糖尿病チーム医療の活性化、糖尿病患者の行動変容
  5. 高齢者糖尿病患者への多角的アプローチ

基礎研究

研究は以下のように主に糖尿病の合併症(腎症、動脈硬化)、老年医学(サルコペニア、早老症)が主なテーマとなっています。

  1. 新規遺伝子R3hdml遺伝子の腎糸球体における機能解析
  2. R3hdml 遺伝子の骨格筋の発達・発生における機能解析
  3. Semaphorin 3Gと肝障害に関する研究
  4. SGLT2阻害剤の臓器保護作用のメカニズム解析
  5. 新たな脂質代謝関連因子の機能解析

取得可能専門医

糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、老年病専門医、動脈硬化専門医、肥満症専門医、甲状腺専門医

学位取得

臨床研究や基礎研究を行い、その成果を国内外で発信し、世界で活躍できる医師を目指します。

お問い合わせ

入局のご相談は、下記までご連絡ください。

担当:竹本 稔
メールアドレス:minoru.takemoto@iuhw.ac.jp
国際医療福祉大学 医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科学 代表