教室紹介
総合診療医学教室の紹介
総合診療医学教室は2017年4月の本学医学部開設と同時に設置されました。近年医学・医療は高度に専門分化が進み目覚ましい発展を遂げていますが、一方で社会の高齢化に伴い複数の疾患や複雑な病態を抱えた患者さんも増加しております。そのような患者さんには複数の臓器別専門医による診療より、一人の総合的な診療能力を有する医師による診療が効率よく効果的である場合もあります。こうした背景があり、2018年から開始された新専門医制度では総合診療は19個の基本領域の一つに指定されました。
総合診療は施設によってさまざまな役割を担っていますが、当教室は診断がついていない病気あるいは健康上の問題に対して丁寧に病歴を聴取し、特定の臓器にとらわれない迅速かつ的確な診断、治療を目標としております。外来・病棟において、医学的な要因はもちろんのこと社会的・心理的な要因も考慮したアプローチからの診療を心がけております。
専攻医研修
大学病院、市中病院、診療所など多様な環境で活躍できる高い臨床能力を持ち、教育、研究においても高いスキルを持ったacademic generalistの育成が目標です。専攻医研修では外来と病棟をバランス良く組み合わせ、診断力の飛躍的な向上のみならず高齢者のmultimorbidityやfrailty にも自信を持って対応できる総合的、包括的な臨床能力の習得を目標とします。また自ら問題点を抽出して解決すること重点を置き、生涯に渡り必要知識や技能をupdateする能力も自然と身につく研修を提供致します。成田病院では毎月初期研修医がローテーションしており、resident as a teacherとしての教育スキルも伸ばせる環境です。ご希望に応じて総合診療専門医か内科専門医の選択ができ、原則として専攻医の希望に沿った研修内容となるよう最大限の配慮を行います。
研究
研究面ではヘルスサービスリサーチを中心に行っております。ヘルスサービスリサーチは医療を一連のサービスとして捉え、「人に健康· 幸福をもたらすサービスを必要な人にいかに効果的に届けるか」を研究しその質の向上を計る学術分野であり、社会的影響力が大きい領域として注目されております。総合診療とヘルスサービスリサーチは親和性が高く、ヘルスサービスリサーチの概念、手法や研究成果を学ぶことで、日々の臨床のみならず我が国全体の医療の質の向上につながることが期待されます。臨床と研究のどちらに比重を置くかは様々であり、キャリアの中で比重の置き方を変えることも可能です。これから研究を開始する方は一定の期間を研究に没頭するのもよいですし、社会人大学院生として本学で勤務を継続しながら博士(医学)の取得も可能です。