医療は、さまざまな職種から成り立っています。さまざまな職種は「医療」という共通のテーマで患者診療にあたります。その医療のプロフェッショナルの教育方法は、近年目覚ましい発展を遂げています。科学技術の発展で、人工知能AIの現場への導入も始まり、時代に対応した十分な知識、スキル、態度を備えたプロフェショナルを育成する必要があります。
また一度、資格を取得しても、生涯にわたり、継続した自主的な学修が不可欠な領域が医療です。そのような、卒前教育（医学部教育）、卒後教育（臨床研修）、生涯教育の一連の学修に関与する医療従事者の教育が、「医療者教育」と呼ばれています。

医療者教育は、医師に限らず、看護、薬学、検査学、リハビリ、放射線医学などあらゆる医療従事者の教育を指します。そして医療に関わる教育は、普遍性の高い共通事項が多数あり、医療者教育として、学問体系が構築されつつあります。
特に重要な学問領域は、カリキュラム・教育のデザイン(design)、カリキュラム・教育の実施 (practice), カリキュラム・教育に関する研究 (research)です。

現在、医療者教育学の領域の発展は目覚ましく、教育科学に基づいた教育の実施、研究が益々盛んになってきています。昨今、導入されたEntrustable professional activities (EPA)は、学修者（臨床実習の学生、研修医）の現場での臨床スキルを直接観察で測定・評価する画期的な評価方法です。そのほか臨床推論の学修と評価、有効な生涯教育の手法など さまざまな研究がされています。
「成人は、なぜ学ぶのか、どう学ぶのか、何を学ぶのか」「なぜ、この授業はうまくいったのか、または、うまくいかなかったのか」「なぜ why? 」と「どのように how」カリキュラム・授業を組み立てると学修効果が高いのか、などを"Positivism 実証主義" の量的研究と"Interpretivism 解釈主義"の質的研究の両方で解明していく分野です。