医学生・研修医の方へ
医学生・研修医の方へ
私たちは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科は「命」と「QOL(生活の質)」を守る診療科であると考えています。
のどが詰まれば、人は窒息し、物が飲み込めなくなれば衰弱します。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、加温・加湿された優しい空気を肺へ、柔らかく形成された食塊を消化管へと送り届ける役割を担っており、まさに命を支える診療科です。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、「聴覚」「平衡覚」「嗅覚」「味覚」などの感覚機能を扱う診療科です。たとえば、聴覚が障害されれば音楽を楽しむことが困難になり、平衡覚が障害されればスポーツを楽しむことが難しくなります。嗅覚や味覚が障害されると、美味しい食事を味わうことができなくなります。また、「発声」や「発語」は感覚機能ではありませんが、これらが障害されると会話やカラオケなどのコミュニケーションを楽しむことが難しくなります。これらの機能は、命を守るうえでも重要ですが、耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、コミュニケーションや感覚を通じて豊かな生活を支えるという意味で、QOL(生活の質)を守る診療科でもあります。
これらの繊細な機能を営むために、耳鼻咽喉・頭頸部領域は、複雑な神経・血管・筋肉によって構成されています。たとえば、人には12対の脳神経がありますが、そのうち視機能に関わる視神経・動眼神経・滑車神経・外転神経を除く8対が耳鼻咽喉・頭頸部領域に分布しています。また、この領域には50種類以上の筋肉が存在し、精密な運動や機能を支えています。さらに、動脈・静脈・毛細血管が複雑に分布し、粘膜・筋肉・神経などの組織に栄養を供給しています。このような構造の複雑さこそが、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を独立した診療科として確立させる理由であり、同時にその奥深さと専門性の高さを物語っています。
その他にも、耳鼻咽喉科・頭頸部外科のおすすめポイントとして、以下の点が挙げられます。
- 乳幼児から高齢者まで、幅広い年齢層の患者を診療できる
→ 小児から高齢者まで、ライフステージに応じた医療を提供します。
- 内科的診療から外科的診療まで、"先発完投型"で対応できる
→ 診断から治療、手術まで一貫して関わることができ、医師としてのやりがいが大きいです。
- クリニック、大学病院、研究所、企業など、ライフプランに応じた多様な働き方が可能
→ 臨床・研究・産業分野など、キャリアの選択肢が広がります。
- 内視鏡・顕微鏡・ロボットなどの手術支援機器を活用した手術が多く、外科医としての"選手寿命"が長い
→ 精密機器を活用することで、身体的負担を軽減しながら長く活躍できます。
- 他科や他職種との連携が多く、広い視野で学際的なアプローチが可能
→ チーム医療や多職種連携を通じて、より質の高い医療を提供できます。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の疾患は、見える場所・触れられる場所に病変があることが多いため、ヒトの組織を用いた最新の研究に関心のある学生さんにも非常におすすめです。たとえば免疫学の分野では、新しい免疫細胞として「自然リンパ球(ILC)」が発見され、研究が進んでいますが、ヒトの2型自然リンパ球(ILC2)は、鼻粘膜(鼻茸)で最初に見つかったことが知られています。このように、耳鼻咽喉・頭頸部領域は、臨床と基礎研究の橋渡しがしやすい分野でもあります。
耳鼻咽喉・頭頸部領域は、身体の限られた範囲ではありますが、先天性疾患、神経性疾患、アレルギー疾患、炎症性疾患、感染症、腫瘍性疾患、外傷、代謝性疾患など、非常に多岐にわたる疾患を扱う、"広く"て"深い"診療科です。国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科学教室では、特に「聴覚」「平衡」「アレルギー」「上気道炎症」「音声」「がん」の分野に力を入れて取り組んでいます。基幹施設である成田病院をはじめ、グループ内の各施設での見学や初期研修に関するご相談は、下記までお気軽にご連絡ください
お問い合わせ先
専門研修プログラムについて
国際医療福祉大学耳鼻咽喉・頭頸部科専門研修プログラムでは、専門研修基幹施設である国際医療福祉大学成田病院を中心に、以下の12の連携施設と協力して研修を行っています。
- 国際医療福祉大学病院(栃木県)
- 国際医療福祉大学三田病院(東京都)
- 医療法人財団 順和会 山王病院(東京都)
- 国際医療福祉大学東京ボイスセンター(東京都)
- 国際医療福祉大学熱海病院(静岡県)
- 千葉大学病院(千葉県)
- 東京医科大学病院(東京都)
- 慶應義塾大学病院(東京都)
- 昭和医科大学病院(東京都)
- 岡山大学病院(岡山県)
- 広島市民病院(広島県)
- 宮崎大学病院(宮崎県)
これらの施設では、それぞれの専門性や特色を活かした耳鼻咽喉科領域の研修が可能であり、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が定める研修到達目標や症例経験基準に掲げられた疾患・手術を幅広く経験することができます。
国際医療福祉大学耳鼻咽喉・頭頸部科専門研修プログラムでは、4年間の研修期間の中で、専攻医本人の希望をふまえた施設選択が可能です。国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科学教室では基幹施設である成田病院を中心に、それぞれの施設の特色を活かした研修を行います。
- 国際医療福祉大学三田病院(東京都港区):人工内耳など最先端の人工聴覚器診療の研修
- 国際医療福祉大学病院(栃木県那須塩原市):地域医療に加え、トップクラスの耳科手術を含む幅広い手術や言語聴覚士と連携した最新の聴覚診療の実践的な研修
- 医療法人財団 順和会 山王病院(東京都港区):日帰り/ショートステイ手術を中心とした都市型診療の研修
- 国際医療福祉大学東京ボイスセンター(東京都港区):国内有数の音声治療専門施設で、喉頭科手術および音声リハビリテーションの研修
- 国際医療福祉大学熱海病院(静岡県熱海市):地域医療に加え、耳鳴に対する音響療法や嚥下リハビリテーションの研修
成田病院には、耳科手術指導医、鼻科手術指導医、頭頸部がん専門医、臨床遺伝専門医、アレルギー専門医、補聴器相談医、めまい相談医などが在籍しており、花粉症などのコモンディジーズから頭頸部腫瘍の切除・再建手術まで、幅広く総合的な研修を受けることが可能です。
したがって本プログラムでは、スタンダードコースを基本としつつ、希望に応じて、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の豊富なサブスペシャルティに重点を置いたサブスペシャリティ重点コース(サブ領域重点コース)を選択することも可能です。具体的には、耳疾患、頭頸部がん、ボイス・音声、鼻疾患、地域医療など、各分野に特化した研修を行うことができます。
また、4年間の研修期間中に、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会および関連学会において、少なくとも3回以上の学会発表を行います。さらに、筆頭著者として学術雑誌に1編以上の論文を執筆・公表することを目標としています。これらの活動を通じて、科学的根拠に基づいた情報の収集・分析を積極的に行い、日々の診療に活かす姿勢を養います。そのためにも、科学的思考力と生涯学習の意識を日頃から身につけることを重視しています。
研修コース例
1.スタンダードコース
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|
国際医療福祉大学成田病院 (社会人大学院もあり) |
連携施設 | 国際医療福祉大学成田病院または連携施設 |
2.サブスペシャリティ重点コース
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|
国際医療福祉大学成田病院 (社会人大学院もあり) |
国際医療福祉大学成田病院または連携施設 (サブ領域重点コース:耳疾患(難聴を中心に)、頭頸部がん、ボイス・音声、鼻疾患(アレルギー・炎症)、地域医療など) |
例:ボイス・音声重点コース
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 |
---|---|---|---|
国際医療福祉大学成田病院 (社会人大学院もあり) |
国際医療福祉大学 東京ボイスセンター | 国際医療福祉大学成田病院または連携施設 |
お問い合わせ先
国際医療福祉大学耳鼻咽喉・頭頸科専門研修プログラムにご興味、あるいは国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科学教室に入局のご希望のある方は、下記までご連絡をお願いします。
こちら
学位取得について
学院としては、2018年に東京・赤坂に博士課程(医学専攻)を中心とした新キャンパスが設立され、臨床医学分野のひとつとして耳鼻咽喉科学講座が開設されました。国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科学教室では、科学的思考とリサーチマインドを持った臨床医の育成を目指し、学位(博士号)取得を推奨しています。これまでに4名が博士号を取得しており、そのうち1名は高インパクトファクターの国際誌に論文が掲載された実績が評価され、卒業生代表に選出されました。また、社会人大学院の選択も可能であり、病院・クリニック勤務や臨床研修を継続しながら、学位取得を目指すこともできます。主な研究テーマは以下の通りです。
- 聴覚に関する研究
- 新規ANSD原因遺伝子の探索と臨床的特徴の解明に関する研究
- 一側性および非対称性難聴に対する雑音下語音聴取評価検査に係る至適条件の探索
- 慢性上気道炎症(アレルギー性鼻炎、好酸球性副鼻腔炎)に関する研究
- ヒノキ科花粉症に対する次世代アレルゲン免疫療法の開発
- 好酸球性副鼻腔炎におけるエンドタイプに基づく新規診断・治療法の開発
- 腫瘍に関する研究
- 頭頚部癌における宿主の栄養・炎症・免疫,有害事象の発現予測の研究
- 腫瘍免疫回避と癌幹細胞特性を同時誘導するEMTの分子機構を標的とする癌治療の研究
- 音声に関する研究
- 声帯内トラフェルミン投与による音声改善効果の検討
- 日本語版Singing Voice Handicap Index の信頼性と妥当性の検証
研究、あるいは大学院進学に関するご相談は、下記までお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ先
- 担当:
- 岡野 光博
- メールアドレス:
- jibika@ihwg.jp
国際医療福祉大学 医学部耳鼻咽喉科学 教授(代表)
国際医療福祉大学成田病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科/アレルギーセンター長
国際医療福祉大学大学院 医学研究科 耳鼻咽喉科学 教授
医学部キャンパス
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Fax 0476-20-7702
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〒286-8520 千葉県成田市畑ケ田852
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Fax 0476-35-5586