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国内初 法医学実務・研究教育で情報共有システムを構築
国際医療福祉大学と千葉大学

2017年4月、千葉県成田市の国際医療福祉大学(以下、国福大)に医学部が新設され、千葉県内に法医学施設が2か所置かれることになりました。これまで千葉県内のほとんどの法医解剖は千葉大学(以下、千葉大)が扱っていましたが、これにより、複数大学で分担することが可能となり、死因究明体制の更なる充実が期待できる状況となりました。
しかし、受け皿が増える一方で、解剖結果やそれに付帯する情報が各機関に分散することになれば、各法医学機関が保有する情報は減少し、法医学統計調査や研究・教育に支障をきたすことが懸念されます。これまで千葉県内の解剖事例に関する情報のほとんどは千葉大に集約されており、これらの情報解析が概ね千葉県の動向に相関していると考えられましたが、情報の分散により、それらを正しく把握することが困難になる可能性があります。法医学の目的のひとつに、「解剖情報などを社会に還元して、それを国民の安心安全や健康増進のために役立てる」ことがあります。従って、情報は可能な限り統合して、管理・利用することが重要です。


これまで法医学領域において、大学間で総合的な情報共有を行ってきた例はありません。千葉大と国福大は千葉県内の法医学情報の分散を防ぐために、情報共有システムの構築を試みました。その結果、独自の回線により、事例の付帯情報、解剖情報、検査結果などを共有することが可能になり、千葉県内の法医学情報の統計学的調査研究や教育の質の維持が期待できます。また、このシステムを用いて、これまで各大学内のみで行われていた執刀医の鑑定(死因診断)の相互評価を大学間でも行えるようになり、医師間だけでなく、施設間で相互に意見交換を行うことで、鑑定の質の向上に役立つことが期待されます。
さらに、東京大学ともこのシステムの構築を進めております。これは法医学情報の地域比較研究や国福大にはいない法医画像専門医による解剖前画像検査の遠隔診断の試みを目的としています。


現在1県1大学1執刀医という地域もあり、法医学の人員は非常に限られています。新設大学をはじめ各大学でも法医学の人員を集めることには困難をともないます。この情報共有システムを端緒として、より進んだ連携協定による多施設間での人員や機材の共有が可能になれば、少ない人員や機材を最大限に活用できることが期待できます。法医学医師だけではなく、専門家がさらに少ない法歯学や法医薬毒物分析などの教員や技術職員の人的共有も可能になるかもしれません。


他方、昨今は自然災害で多くの方が亡くなっております。そのような場合でも一人ひとりの尊厳を守るために正しい死因を探り、ご遺族への適切な対応を図り、それらの情報を今後の減災に生かすことも法医学の重要な役目です。今後、県内での大規模災害や事故対応での協力関係も構築していく必要があると考えています。