成田キャンパス
循環器内科学教室

循環器内科学教室

診療概要

私ども国際医療福祉大学には、栃木県に国際医療福祉大学病院と国際医療福祉大学塩谷病院、東京都に国際医療福祉大学三田病院と、千葉県に国際医療福祉大学市川病院、静岡県に国際医療福祉大学熱海病院があります。そして東京都に山王病院、福岡県に福岡山王病院、高木病院と数多くの関連施設があります。これらの各施設と連携し、臨床教育施設としての機能を強化して参ります。

成田病院では経験豊なベテラン指導医の下、虚血性心疾患や心不全治療といった一般循環器診療に加えて、大学病院として以下の特色ある領域の先進的治療を行って参ります。1. Structural Heart Disease(構造的心疾患)に対するカテーテルインターベンション、2. 不整脈のカテーテルアブレーション、3. 肺高血圧に対する内科的治療およびバルーン拡張術、など様々な治療を行う予定です。また、医療連携を重視し、地域の実地医家の先生と顔の見える信頼関係を築きます。

1. 2020年度の実績

(1) 冠動脈疾患 PCI 120例(緊急症例 59例)
(2) カテーテルアブレーション 35例
(3) ペースメーカー 18例
(4) ICD、CRT 2例
(5) バルーン肺動脈形成術(BPA)5例
(6) PTSMA 1例
(7) 心筋生検 31例

いずれも主要合併症なく終えることができました。
特筆すべきは 心筋生検です。加藤倫子准教授の指導の下、病理学検査室のご協力の下、数多くの特殊心筋症の迅速な診断、治療に繋がりました。

2. Structural Heart Disease(構造的心疾患)に対するカテーテルインターベンション

今後、これらの低侵襲治療はますます発展すると予想されます。2年後にはTAVI、 Mitral Clip、Watchman、ASD、PFO閉鎖など、これらの先進的治療を開始すべく準備中です。

3. 不整脈治療(リードレスペースメーカなど)

相澤義泰准教授のもと、カテーテルアブレーション、ペースメーカー埋め込み、ICD、CRTを開始いたしました。特にリードレスペースメーカ留置の第一例は右胸心のご高齢の患者さんに無事行われています。リードレスペースメーカは小さなカプセル型をしており、従来のもののように皮膚を大きく切開することなく留置可能です。傷口が残らず感染症のリスクも低く、ご高齢の患者さんではとくに有効です。

arrhythmia_treatment.jpg

4. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するバルーン肺動脈形成術(BPA)

杉村宏一郎教授が責任者として担当しております。杉村教授は、国内では10名ほどの医師のみが有している、日本循環器学会のバルーン肺動脈形成術(BPA)実施医資格を取得しております。昨年度はBPAを5例に行い、いずれも無事成功しております。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は、慢性血栓による肺動脈の閉塞・狭窄により肺高血圧症に至る予後不良の疾患です。太い肺動脈に病変の主座を置く中枢型CTEPHに対しては外科的治療である血栓内膜摘除術が第一選択の治療法として確立されていますが、手術治療が適応とならない末梢型CTEPHでは、これまでの治療の成績は5年生存率約60%と予後が不良でありました。しかし、最近の10年間で非手術適応CTEPH患者にカテーテルを用いたBPAが新たな治療法として確立され、これまでに多くの良好な成績が報告されるようになりました。

バルーン肺動脈形成術の実際
CircJ.jpg (Circ J. 2012;76:485-488.)

光干渉断層法(OCT)を用いた血管内イメージングにより、CTEPH患者の肺動脈には網目状の遺残血栓構造が存在し、これが肺動脈圧の上昇の原因となり、BPAによりこの構造を破壊することで肺血流が改善することがわかっています。

CTEPH患者の肺動脈内のメッシュ構造OCTによる3D画像
EurHeartJ.jpg(Eur Heart J. 2013;34:2121. Circ J. 2013; 77:1081-1083.)

BPAの効果は、CTEPH患者における血行動態だけでなく、腎機能・インスリン抵抗性・栄養状態といった代謝面や、酸素化も改善します(Circ J. 2016;80:980-988. Circ J. 2016;80:2227-2234)。BPA治療の治療成績と合併症の検討では、長期予後改善効果を示しています(5年生存率: BPA群vs従来治療群; 98.4% vs 77.5%,P<0.01  Eur Heart J. 2017;38:3152-3159.)。BPAは日本発の治療効果と安全性が確立した治療です。