辻 省次 教授からメッセージ

ゲノム医学研究所について

ヒトゲノムの塩基配列の解読をめざしたヒトゲノム計画は、国際的な大規模共同研究として20年近くの年月をかけて 2003年にその解読を完了することができた壮大なプロジェクトでした。この成果は基盤的な情報として、 疾患のゲノム解析研究を大きく発展させる原動力になりました。その後、次世代シーケンサーと呼ばれ、 ゲノム配列を大量に高速で読み出すことができる新型のDNAシーケンサーが実用化され、 今や低コストで、数日でヒトの全ゲノム配列を読むことが可能になってきています。

本学では疾患の発症原因の解明をめざしたゲノム医学研究を推進するとともに、 その研究成果を実診療に導入し、医療の質の飛躍的に向上させることをめざして新たにゲノム医学研究所を設置いたしました。

ゲノム医学研究所では世界の最先端の次世代シーケンサー (NovaSeq,NextSeq)、 ゲノムのビッグデータを解析できるコンピューターシステム、さらに操作を自動化できるロボット、 ゲノムDNA、RNA上の特定の変異を超高感度に正確に検出できるデジタルPCRというDNA増幅装置などを 導入して世界最高水準のゲノム解析が実施できる体制を整備し、今年4月より始動しております。

導入された次世代シーケンサーの中で、NovaSeqは国内では未だ数台しか導入されていない世界の最先端、 最強のシーケンサーです。世界のヒトゲノム研究はシーケンサーの能力の飛躍的な向上を受けて、 全ゲノム配列の取得に基づいた大規模研究にシフトしてきており、 ヒトゲノムの全配列の解析を視野に入れた研究を大きく発展させることができると期待しています。

研究面では本学の共同利用施設としての位置づけで、学内のさまざまなゲノム解析研究の支援拠点としてのミッションを果たしていきます。 本学の多くの研究者との共同研究により、がん、肉腫、難病などの原因解明に貢献したいと考えています。 また、病理学の潮見隆之教授との連携により、バイオリソースセンターの整備を進め、ゲノム医学研究の発展に努めます。

診療への貢献としては、がんのゲノム解析に基づき、治療法を選択するゲノム医療を強力に推進するとともに、 遺伝性難病の診療、感染症の診療に貢献するようにいたします。 特に重要な点としては最先端のゲノム解析技術、インフォマティクス解析技術に基づき、 世界最高水準のゲノム解析を診療に直結する形でゲノム医療を推進していきます。

【Plofile】
和歌山県立古座高等学校、東京大学医学部(1976 年卒)。医学博士。
前東京大学大学院医学研究科脳神経医学専攻長。前東京大学ゲノム医科学研究機構長。 東京大学名誉教授。日本学術会議連携会員。2018 年から国際医療福祉大学大学院医学研究科医学専攻主任。