田中 宏一 教授からメッセージ

教育科目「発生と出産」 実習のご紹介

本学医学部では、カリキュラムポリシーとして、“基礎医学と臨床医学を統合して教え、少人数教育を多用し、情報の批判的吟味、問題解決能力の強化を図る”ことを掲げています。 その一環として、発生学とその後の新生児誕生までを一つの流れとして、“発生と出産”という基礎医学教育科目として学習してもらいます。人体発生は単に胎児形成だけではなく、その胎児を安全に新生児誕生に結び付けるという一連の管理のもとに成り立っており、元気な赤ちゃんを抱くことが、目標となるわけです。そのサポートをいかにするかということ、早期から考え、学習することは、ほかの多くの疾患のとらえ方、考え方にも大いに役に立つと思います。

さらに本学医学部では次のようなカリキュラムポリシーも掲げています。 “充実したシミュレーション教育や診療参加型臨床実習等を通じて、知識・技術・態度のバランスのとれた、高い総合臨床能力を養成する”。このポリシーに従い、欧米の大学にも引けを取らないシミュレーションセンター(Simulation Center for Outstanding Professional Education:SCOPE)を開設し、内容の充実を図っております。分娩シミュレーターである、Gaumard社のVictoria(S2220)を3台、Limbs & Things社のPrompt Flexを4台、超音波用の妊婦Phantom 4台、内診モデルを6台、透明骨盤モデル3台用意しています。
そこで通常の大学なら4年生で行うような産婦人科実習を1年生140人に対して行います。実習は大きく4ブース(分娩シミュレーター、分娩ビデオ、妊婦超音波、産科・婦人科内診)用意し、140人を4つのグループに分け、さらに各グループを7人の小グループに分け、上記のシミュレーターを総動員し、3時間かけて実習します。待ち時間はほとんどないようにprogramを工夫しています。学生から、「座学やビデオだけでは理解できなかった、3次元的な動きが良く理解でき、授業で何を言われたのかよく分かった。」「超音波画像の見方が理解できた。」との感想があり、実習による理解の定着は医学教育には必須と感じています。

近年の医師・患者関係を考えると、以前より患者実習がかなり難しくなってきていると思います。そこで役に立つのが、より現実に近いモデルやシミュレーターです。多くのモデルを使用して練習することにより、病院実習で患者への負担をかなり軽減させることができ、より充実した実習が可能となると思います。さらにこれらのことが知識の定着、他領域への応用へとつながり、今までの医学教育では得られなかった充足感を感じることができるでしょう。

【Plofile】
千葉大学卒、医学博士。
前千葉大学医学部附属病院講師。
日本産科婦人科学会認定指導医、日本周産期・新生児医学会専門医、緩和ケア研修修了。
内科合併症、精神疾患合併症、胎児異常に関して、数多くの診療をしている。
また、多くの産科救急にも携わり、病院内での集学的治療のシステムづくりに貢献。