押味 貴之 准教授からメッセージ

革新的な医学英語教育

国際化が進む現在、医師にとって英語は「必須のスキル」と言えます。 しかし、日本で医学英語のスキルを獲得することは容易ではありません。 この難しい課題を克服するために、国際医療福祉大学医学部では「医学英語を学ぶ」のではなく、 「医学を英語で学ぶ」という「内容言語統合型学修: Content and Language Integrated Learning(CLIL)」という教育方法を採用しています。

1年次と2年次には基礎医学の科目を全て英語のみで学修することにより、 「米国医師免許試験: United States Medical Licensing Examination (USMLE)」の合格に必要な医学英語力の基礎が習得できる学修環境を整えています。

しかし、このように「医学を英語で学ぶ」ことは、多くの一般的な日本人学生にとって負担が大きいのが現実です。 そのため本学では入学時の英語力に関わらず、全ての学生が「医学を英語で学ぶ」ことが可能となるための英語教育を提供しています。

1年次「医学を英語で学ぶための基礎英語力」の習得

1年次で「医学生に必要な国際教養を英語で学ぶ」ことを経験します。 4月から5月下旬までの期間、留学生は日本語を学びますが、その間に日本人学生は「英語 I」コースで「日本の文化」「医師としてのキャリア」 「国際ニュース」「日本の医療」という4つの題材を英語で学びます。 入学後のTOEFL ITP のリスニングスコア別に4つのクラスに分かれ、それぞれのリスニング能力に合ったペースでこれらの4つの題材を アクティブラーニングの手法で学んでいきます。 この60時間の「英語 I」を終える頃には、全員が「英語の授業を理解する」「英語でプレゼンテーションをする」ことに慣れた状態になります。

「英語 I」が修了すると留学生も加わり、全員が「英語 II」コースでさらに高度な4つの題材を学びます。 このうち3つでは「文化・人文」「医療・科学」「世界事情」の題材をTED Talks を用いて学びます。 世界最先端の知識を世界最高峰のプレゼンテーションを使って学ぶことで、「さまざまな内容を英語で学ぶための基礎英語力」が習得できます。 4つ目の題材となる「米国式の病歴聴取・身体診察・患者教育」 では、日本人受験者にとって USMLE で最難関となるとされる Step 2 Clinical Skills (CS) と全く同じ様式で、英語での病歴聴取・身体診察・患者教育のスキルを習得します。 この180時間の「英語 II」を終える頃には全員が「医学を英語で学ぶための基礎英語力」を習得した状態となります。

実際に2017年度の1年生は4月の時点ではTOEFL ITP の平均点が519点でしたが、 「英語 II」を修了した翌年1月の平均点が32点のスコアアップの551点となり、 英語圏の大学留学に必要な中上級レベル(CEFR B2 Level)のスコア543点を超える結果となりました。 1年生140人のうち20人の留学生の平均点は 603点 (+25点)、日本人120人の平均点は543点 (+34点) と、 いずれも日本の医学部の平均点483点を大幅に上回る国内トップクラスの平均点を獲得できました。

2年次「 医師として必要な医学英語力」の習得

2年次では「医師にとって必要とされる医学英語スキル」の習得を完成させます。 120時間の「医学英語」コースでは「病歴聴取」「身体診察」「患者教育」「症例報告」「論文読解」「論文執筆」「口頭発表」などの高度な医学英語を学びます。 授業自体が USMLE Step 2 Clinical Knowledge (CK) & Clinical Skills (CS) の対策となるように構築されているほか、 医学教育モデル・コア・カリキュラムで定められている症候学も学修項目としているので、基礎的な臨床推論能力も習得できます。 このコースではとても難しい内容を扱いますが、担当する教員全員が医学英語の指導に精通した医師であるので、 学生は楽しく効果的に医学英語スキルを学ぶことができます。

充実した英語学修環境

1年次と2年次には上記の教科に加え、自由選択科目として180時間の「英語コミュニケーション」が用意されています。 毎日夕刻に開講するこのコースでは、「医学」「科学」「世界情勢」「趣味(映画やスポーツなど)」「一般英語」「アカデミック英語」など 6つのテーマについて英語で会話をすることで、英語で自由に意見を述べるスキルを自然に習得できます。 この中で「USMLE対策セミナー」も週2回開講され、通常の授業よりもさらに高度な内容が定期的に学べます。 また、これらの英語関連の授業はアクティブラーニングのために特別にデザインされたLanguageRoomという教室で実施されています。

本学医学部の学生は毎年学年末にTOEFL ITPを受験しますが、その試験様式に慣れるために1年次にMyELTというオンライン教材を 用いた自宅学修環境も準備しています。 3年次以降は英語圏での臨床経験が豊富な指導医の元での国内臨床実習、そして4週間以上の海外臨床実習を通して、 それまでに学んだ医学英語を実際の医療現場で使う環境が用意されています。 またこうした英語学修を支援するために医学部には7名の常勤の英語教員に加え、9名の海外出身および海外経験豊富な医師が医学英語教員として揃っています。

このように本学では、どんな英語力であっても、全ての学生が「医学を英語で学ぶ」ことが可能となるための英語教育とその学修環境を提供しています。

【Plofile】
札幌開成高等学校、立命館大学国際関係学部国際関係学科、旭川医科大学医学部医学科(2001年卒)、Macquarie University 大学院通訳翻訳学科。
2017年から現職。国際医療福祉大学では医学部での医学英語教育を含む「成田キャンパス総合教育センター英語主任」、「大学院 医療福祉経営専攻 医療通訳・国際医療マネジメント分野責任者」を務める。