西村 渉 教授からメッセージ

分子生物学の授業について

私が担当する分子生物学・遺伝学では、ゲノムや遺伝子の構造と機能などを学ぶことによって、 生命現象の基本原理を分子のレベルで理解し、医学へ応用できるようになることを目標にしています。

授業にはアクティブラーニングや反転授業を取り入れています。 PDFファイルやビデオ教材を用いて、設定された課題についてひととおり学んだあと、 学生同士でディスカッションやプレゼンテーションを行います。これにより、学修した事項を確認し定着させるとともに、 短時間で自分の考えをまとめて、他者に伝えるスキルを習得します。

医学・生物学には、長い年月をかけて多くの研究者が切磋琢磨し蓄積してきた、人類の財産ともいうべき研究リソースがあります。 授業ではこれらを利用しています。 ゲノムの中でどこに遺伝子があり、どの部分が保存されていて、どの部分が機能し、どの臓器に発現しているか、 などを可視化したブラウザを各自の端末に表示して学修します。 講義の進行に際しては、常に学生とのコミュニケーションを取るように心がけています。

これからの医療は、一人ひとりのゲノムの違いを診断や治療に応用する時代に突入していきます。 さらに、ヒトの遺伝子を改変可能な技術、ひとつひとつの細胞ごとに異なる遺伝子発現を認識する技術、個々の分子を時間・空間的に追跡する技術などが開発され、医学は飛躍的に発展を続けています。

寿命はどこまで延ばすことができるのか? 自我や感情を分子の動きで説明することは可能なのか? 蘇生はどこまで発展するのか? 人間は地球以外の宇宙空間で生活し、子孫を残すことはできるのか? 倫理的な議論や法的な土台がこれらの技術に追いついたとき、開発された技術や発展した医学を応用して、人類の行く末を決めるのはみなさんの世代です。 これほど面白い仕事はないと思いませんか。みなさんと一緒に医学を勉強するのを心から楽しみにしています。

【Plofile】
東京都立西高等学校、岡山大学医学部(1993年卒)、岡山大学博士(医学)、
東京医科歯科大学大学院助手、ハーバード大学医学部博士研究員、国立国際医療研究センター研究所室長、自治医科大学医学部准教授を経て
2017年から現職、医学教育統括センター副センター長。